Legendary Races 伝説の一戦
サーキット:鈴鹿サーキット
予選日:2004年3月27日(土)
決勝日:2004年3月28日(日)
#31(A.ロッテラー):予選 13位/決勝 2位
#32(小暮卓史):予選 3位/決勝 優勝
2シーズン目を迎えたアンドレ・ロッテラーと小暮卓史の両ドライバーを擁したこの年のNAKAJIMA RACING。開幕前の2回の公式合同テストでも安定した速さを発揮し、チームの士気が高まった状態で迎えた開幕戦。
予選は45分間のセッションが2回行なわれ、2回目にポールポジションのタイムと0.04秒差の3番手につけた小暮に対し、エンジントラブルに泣かされ13番手と出遅れたロッテラー、そのロッテラーは決勝レースのスタート直前にもコンピュータのトラブルが発生しピットスタートを余儀なくされるという厳しい状況のなか、シリーズ開幕戦を迎えることとなった。
3番グリッドからスタートを切った小暮はホイールスピンをさせ過ぎてしまい5番手までポジションダウン、2台揃って最悪の結末を予感させたが、そこからそれぞれの猛プッシュが始まる。
トップのマシンが快調にレースを進めていき14周目にピットイン、これを見て翌周にピットに入った小暮は右側前後2本のみのタイヤ交換を行なってピットアウトし実質トップに躍り出ることに。タイヤ2本交換は4本交換に比べて7〜10秒も早い作業時間で、4本交換が定例となっていた周囲を驚かす奇襲作戦となった。ただし、タイヤを2本しか交換していない分だけビハインドを背負うことにもなり、後方のマシンに差を詰められていったのも事実。
小暮は2番手のマシンと攻防戦を繰り広げながらピットインをしていないトップを走るマシンにみるみる近づいていく。33周目に揃ってそのトップのマシンを攻略し、いよいよ小暮がトップに立つ。その後も2台はトップ争いを続けていくが、42周目のヘアピンで2番手のマシンが強引に小暮のインに飛び込んできて2台は接触、相手はノーズを壊してしまい戦線を離脱。小暮はそのまま走行を続けていったが、またしても後方のマシンに猛プッシュを仕掛けられる。しかし、今度の相手は43周目のシケイン立ち上がりでスピンして自滅。小暮は、幾度となく襲い掛かる手強いライバルを振り払いトップチェッカー。そしてなんと、13番手スタートのロッテラーもタイヤ2本交換の作戦を成功させて2位チェッカー。チームにとっては1996年の第5戦以来となる1-2フィニッシュを達成し上々の開幕戦ダッシュを飾った。週末を通していろいろな不運や手強いライバルを払い除け傷だらけになりながらも2台がもたらした8年ぶりの1-2フィニッシュ。
これも伝説の一戦だ。
この年は2人併せて5勝がノルマという大きな目標を掲げてスタートを切りました。結果から言うと3勝で目標達成とはなりませんでしたが、大変収穫があった1年でした。ピットインのタイミングからピット作業の内容までを含めたピット戦略の重要性と、それに伴うレースの奥の深い面白さを伝えることができた大きな意味があるレースだったと感じています。