梅雨に入った6月7〜8日、フォーミュラニッポン第4戦が岡山国際サーキットで開催された。
週末に向かって天気は下り坂で、決勝レースが行われる日曜日は雨、との予報も出されていたが、実際には雨に見舞われることもなく好天続きでスケジュールを消化。
年に一度きりとなるトップフォーミュラのドッグファイトを待ちわびていた2万人近いファンが詰めかけ、ドライコンディションでのハイスピードバトルを、心行くまで楽しんでいた。
金曜日の公式合同テストが走り始めとなる。午前中のセッションではロイックがトップタイムをマーク。小暮がこれに続いて上々の滑り出しとなった。午後のセッションでは小暮が午前中の自己ベストを更新して総合トップにつけ、ロイックは、午前のタイムで総合2番手につけることになった。
翌土曜日には公式予選が行われた。今回もまた、今シーズンから選択肢のひとつとなっているノックアウト方式が採用されており、午前中に30分間のフリー走行を行った後、午後のQ1〜Q2〜Q3と進められていった。
午前中のフリー走行ではロイックが5番手につけた。一方の小暮は午後のQ1〜Q2〜Q3に集中する作戦で、一度はコースインしたもののストレートを通行することなくピットに戻り、結局ノータイムでセッションを終えることになった。もちろん、午後の本番に向け何ら心配はなかった。
雲は拡がっていたが、引き続きドライコンディションのままQ1が始まった。開幕戦から2戦続けてハプニングの洗礼を受けたが、前回のもてぎラウンドでは2人揃ってQ3に進出。ノックアウト方式の予選を戦う術も備わってきていることを証明したが、今回も小暮が4番手、ロイックが8番手で揃ってQ3に進出した。その最後のQ3で、ロイックは通常のワンアタックだったが、小暮はセッション開始と同時にアタックし、一度ピットに戻ってタイヤを交換し、ラストアタックに出ていく作戦を執った。
最初のアタックで小暮はQ2の自己ベストと同タイムの1分16秒709をマーク。ピットに戻ると、まるでレース中のルーティンピットのようにピットロードでタイヤを交換、脱兎のように再度コースインしていった。
その小暮の直前にピットアウトしていったロイックは、Q2までの自己ベストを更新する1分16秒396をマーク。小暮もラストアタックで16秒218の自己ベストを更新。小暮は2戦連続のフロントロー。ロイックは3列目から決勝に臨むこととなった。
決勝レースは曇り空ではあったが雨が降る気配はなく、完全なドライコンディションでスタートが切られることになった。
2番手スタートの小暮、5番手スタートのロイックともにポジションキープのまま順調なスタートを切ったが、小暮にはサイティングラップでのピットレーン通過速度違反としてドライビングスルーペナルティを科せられてしまう。
実は決勝前に小暮と藤井チームディレクターはピットロードエンドの速度計測用光電管をチェック。ピット通過用にリミッターを解除するポイントまで再確認したばかり。もちろん、その手順には何の間違いもなかったが、下された判定は、もうどうすることも出来ない。結局小暮は4周目にピットロードを通過し、最後尾まで後退した。
これで4番手に進出したロイックは、2〜3位のマシンに食らいつきながら周回を重ねる。6周を終えたところでトップの松田次生選手がピットイン。意外に早いピットインとも思われたが、どうやらマシンにトラブルを抱えていたようで、結果的にレース中盤で戦いを終えている。ともかく、松田選手のピットインで2位以下はひとつずつポジションアップ。そのオーダーのまま、しばらく接近戦を繰り広げた。
26周を終えたところでロイックがルーティンのピットイン。素早いピット作業の甲斐あって、ピットインを済ませたマシン群の先頭でレースに復帰する。
しかし、34周目、バックストレートエンドで誤ってピットロードリミッターを押してしまい失速。ロッテラーが直後に迫って来たが、チームからの無線指示でリミッターを解除。危機一髪のところで再加速した。最初にピットインを済ませていた本山哲選手の先行を許したものの、本山選手はどうやら2ピット作戦だったようで、彼が2回目のピットインを行うと、労せずして事実上のトップに返り咲くことになった。
その後ロイックは、後続のアンドレ・ロッテラー選手以下との差をチェックしながらレースをコントロール。全く危なげない展開でトップを独走し、06年の菅生以来となる通算3勝目を飾ることになった。
一方、思わぬペナルティで出鼻をくじかれた格好の小暮は、20周を終えたところでルーティンのピットイン。だがここでもまた思わぬハプニング。
交換したタイヤがメカニックの足に引っ掛かる格好で平置きとならず、ピット作業違反で再度のドライブスルーペナルティ。これで再び後方までポジションダウンしたものの、その後も集中力を途切れさせることなくハイペースで周回を続けた。
コース幅も狭く、パッシングが難しいとされるこのコースで、幾度となく先行するマシンをパス。さらに上位陣の脱落もあって、9位でチェッカー。今後に向けての手応えを掴むことになった。 |