シリーズ名:2003年全日本GT選手権(JGTC) |
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予選2番手の好位置から絶妙のダッシュでトップを奪い快走 チームが一丸になって今季ベストの2位入賞を果たす |
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今季最高2位を獲得 | 初のGT公式戦となった九州オートポリスサーキット |
800メートルの標高にあるサーキット、 朝晩の冷え込みはかなりなものだった |
今シーズンのF1も終わり、ブリヂストンF1担当の 浜島エンジニアも現れ、一緒に走行後のタイヤチェック |
10月も下旬となり、モータースポーツシーズンは大詰めを迎えた。各シリーズでは、いよいよ最終戦が近づいてきたが、朝夕の冷え込みがめっきりと厳しくなってきた10月25〜26日、大分県にあるオートポリスでは、2003年全日本GT選手権(JGTC)のシリーズ第7戦が開催された。 今回の舞台となるオートポリスは、99年にオールスター戦が開催されて以来、シリーズ戦としての公式レースは今回が初めてとあって、九州地方を中心に4万人を超えるファンが集い、秋晴れの一日、初のGTバトルを楽しんだ。 何よりも、このオートポリスで行われた99年のオールスター戦では、我がチームが優勝を飾っていたこともあって、チームの意気は否応もなく高まっていた。 今回は事前テストが設けられなかったこともあって、通常のスケジュールよりも1日早く、木曜日から走り始めることになったが、その木曜日の合同テストでは午後のセッションでトップタイムをマークして、総合でも2番手。 金曜日の公式練習でも、午後のセッションでは、これまでのコースレコードを更新する好タイムでトップに立ち、午前との総合結果でも2番手に付けるなど、サーキット入りした直後から、好調な流れをつかむことができた。 こうした流れを受ける格好で、土曜日の公式予選も、2回のセッションでは、ともにこれまでのコースレコードを更新する1分42秒台をマーク。 今季初のフロントローを確保することになった。ちなみに、今回もタイムアタッカーはロッテラー選手が担当。 松田選手もあっさりとクオリファイタイム(予選通過に必要なタイム)をマークしたのは言うまでもない。 今回は、走り始めとなった木曜から、ずっと秋晴れのドライコンディションが続いてきたが、決勝日となった日曜日も、早朝には霧がでていたものの、朝一番のフリー走行が始まる頃までには視界が開けると同時に秋空が拡がり、10月末の時候と阿蘇の外輪山中腹というロケーションから冷気が肌を刺すのは仕方ないにしても、絶好のレース日和となった。 標高800mを超えるこのサーキットでは、NAエンジンを搭載するNSXは、若干リストリクター(吸気制限孔)が緩和されるが、それでもパワー的にはターボ車に対して苦しい戦いが強いられるのは予想していたとおり。その反対に、コーナーが多いことで運動性能に長けたNSXの特性が活かせる面も、このサーキットは持っている。 その特性を活かしきってのフロントロー獲得だったから、マシンのフィーリングが重要だったのは言うまでもない。 午後2時、いつものようにローリングによって正式スタートが切られた。前回のもてぎ戦に続いて今回も、若いロッテラー選手がスタートドライバーを担当したが、ポジションキープしたまま1コーナーにアプローチしていった彼は、そこから猛チャージ。ポールスタートの竹内浩典選手をプッシュし続けて、これをパス。堂々トップに立ってオープニングラップを終えた。その後ロッテラー選手はペースを緩めることなく、じわじわと竹内選手を引き離しに掛かった。オープニングラップで0.8秒だった2車の差は3周目には1.6秒、6周目には4.2秒と拡がっていく、まさに見事な先制パンチだった。 だが、4番手スタートの織戸学選手もペースアップして2位に付け、ここから2台によるトップ争いが激しくなっていく。 両車の間隔は4秒前後で、見応えあるバトルとなったが、それが急変したのは11周目。早くも前方に周回遅れのマシンが現れたころからだった。コーナリングで優位に立つNSXは、コース後半の登りセクションを、単独で走ればライバルよりも速いペースを維持できるが、バックマーカーに追いついて一度スピードが落ちてしまうと、なかなか元のペースには戻れずに1周あたり数秒のタイムロスは必至となる。 12周目に一気にコンマ4秒差まで詰め寄られたロッテラー選手は、何とか踏ん張り、数周でバックマーカーを処理して目の前が開けると、再びじわじわと、織戸選手を引き離しに掛かった。 18周目には織戸選手との差を3秒にまで戻したロッテラー選手は、その後数周に渡って3秒前後のアドバンテージをキープする。だが21周を過ぎたところで、またしても現れたバックマーカーによってペースダウンを余儀なくされ、24周目には再び織戸選手にテールtoノーズに迫られてしまう。そして今度は遂に、25周目のヘアピンでかわされてしまった。 2位に後退したロッテラー選手は、すぐさまピットイン。素早くガソリン補給とタイヤ交換を終え、松田選手に代わってピットアウトしていったが、今回もチームスタッフは的確な作業で、タイムロスを最小限に抑えることに成功、後半戦の松田選手に期待を繋ぐことになる。その松田選手は8番手でレースに復帰したが、ピットアウト直後から好調なペースで周回を重ねていった。一方、我がチームのピットインが引き金になったかのように、その後10周足らずの間に数周で上位陣の多くがルーティンのピットインを行うこととなった。 レースも折り返しとなる33周を終えた時点で、まだピットインしていないブノワ・トレルイエ選手がトップを走っていたが、その40秒余り後方では、すでにピットインを終えた各車が僅差で、事実上のトップを争う展開となった。そのグループのトップは松田選手で、3秒後に脇阪寿一選手、さらにその1秒後には織戸選手から交代したドミニク・シュワガー選手が迫っており、後半戦も前半戦と同様に、息もつかせぬバトルが展開されそうだった。 "事実上の"トップグループの中ではシュワガー選手が好調で、34周目には脇阪選手をパス。前半戦と同様、我がチームと彼らのバトルへと移行していく。ベテランの織戸選手と違い若いシュワガー選手は、松田選手との差を詰めてくると一気にパスに掛かる。松田選手は冷静に判断し、タイヤが厳しくなってくる終盤勝負の作戦で、ここは無理せず彼を先行させることになる。だが、シュワガー選手のマシンは、タイヤがたれる気配も見せず、そのままハイペースをキープ。一時はその差8秒にまで拡がってしまう。松田選手もそれ以上引き離されるわけにはいかず、ペースアップ。 両車の差は6秒前後で終盤戦に突入した。 だが65周レースも残り20周余りとなったところから、後続の脇阪選手が松田選手に猛プッシュを掛けてきた。 逃げるシュワガー選手に加えて追い上げてくる脇阪選手、そして周替わりで登場するバックマーカー…。松田選手にとっては、一瞬たりとも気の抜けないタフな展開となる。 実際、シュワガー選手に対するビハインドは約6秒で一定していたが、一時は10数秒もあった脇阪選手に対するアドバンテージは、じわじわと削られていった。 そして残り10周余りとなったところで、このレースで何度目かの、バックマーカーの集団に追いついてペースダウンを余儀なくされた松田選手は、遂に脇阪選手にパスされてしまう。 それでも集中力を途切れさせることなく、松田選手は最後まで渾身のドライビングを続けた。 すると、ファイナルラップに入って脇阪選手が急激にペースダウン。ガス欠だったとも、ウェイトハンディを計算してのペースダウンだとも言われるが、いずれにしても、その脇をパスして行った松田選手は、最後の最後で逆転。今季ベストの2位でゴールした。 |
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●Mobil 1 NAKAJIMA RACING総監督 中嶋悟のコメント 木曜日の合同テストから好調さをキープ、土曜日の公式予選では今季ベストの2番手グリッドを獲得。 好い流れで迎えた決勝レースでも2人のドライバーだけでなくチームスタッフが一丸となって、今季ベストの2位表彰台を奪うことができました。 前半戦は苦戦を余儀なくされてきましたが、ここに来てマシンの戦闘力も着実引き上げられていることは、今回の結果からも証明できたと思います。 次回はいよいよシリーズ最終戦の鈴鹿。シーズンの集大成として、納得できる結果を求め、最後までチーム一丸で戦っていきます。 皆様方にはこれまでと同様に、我がMobil1 NAKAJIMA RACINGに対して温かいご声援をお願いします。 |
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※次戦は、11月14日〜16日、三重県鈴鹿サーキットで開催されます | |
Round6 |