シリーズ名:2007 オートバックス SUPER GT(S-GT)
大会名:第6戦・第36回インターナショナル ポッカ 1000km
距離:5.807km×173周
予選:8月18日 晴れ         ・観衆:2万1000人(主催者発表)
決勝:8月19日 晴れのち曇り、にわか雨・観衆:3万5500人(  同  )



表彰台圏内を力走しながらも、にわか雨に足をすくわれる
予選ではロイックがトップタイムでSLに進出しフロントローを確保


32 EPSON NSX  予選2位 決勝13位
真夏の祭典、ポッカ1000Kmが猛暑の中スタート。
EPSONNSXは酷暑の中でも好調。予選2位グリッドを獲得。

1000Kmの長丁場。ピットウォールにはすだれ登場。
今回はロイック→ファビオ→ロイック→ファビオ→ロイック
の5回スティントで1000Kmを走行する。

しかし、4スティント目ファビオ走行中にスコールが襲う。
3位をキープしていたが、ヘアピンでクラッシュ。ピットに戻るもそのままリタイアとなった。

8月も後半に入り、国内各地から猛暑・酷暑のニュースも相次いだ8月17〜18日、鈴鹿サーキットではこの時期の風物詩ともなったインターナショナル ポッカ 1000km レースが行われた。
昨年からスーパーGTのシリーズ戦に組み込まれたクラシックイベントで、今シーズンもまた、シリーズ第6戦として開催され、週末2日間で6万人近い観客がサーキットに詰めかけた。決勝レースは終盤ににわか雨に見舞われが、チェッカーの瞬間までハイスピードバトルが繰り広げられる展開となった。ゴール後には、これも恒例となった花火大会も行われ、スタンドを埋めたファンは、猛暑・酷暑に見舞われた、“夏の”一日を堪能していた。
金曜日の公式テスト(練習走行)から、猛暑・酷暑のコンディション。朝のセッションがスタートする午前10時前には早くも、気温/路面温度は36℃/47℃まで上昇。強い日射しに照らされ続けた路面は、午前のセッションが終了した時には50℃を超えるほどだった。    
それでも一日の総合結果でも2番手につける快調ぶりで、土曜日の公式予選に向け、期待はさらに高まっていった。

公式予選が行われた土曜日も、前日同様暑い一日となる。午前中に行われた1回目の公式予選セッションではいつものように、GT500専有走行時間帯20分のうちラスト7分で見事なパフォーマンスを見せつける。満を持してピットアウトしていったロイックが、最初のアタックで1分55秒817のトップタイムをマーク。暫定ポールを奪って午後のスーパーラップ(SL)進出を果たすことになる。ピットに戻ってきたロイックから替わったファビオは、GT300との混走時間帯にピットアウト。ロイックがアタックに使ったユーズドタイヤであっさりと予選通過基準タイムをマーク。混走時間帯の後半にはピットに戻り、スタッフがチェック&メンテナンスに取り掛かる、いつも通りのルーティンワークとなっていた。
午後のセッションは、GT300、GT500の順に、各クラス20分間の専有走行時間帯を挟んでスーパーラップが始まった。午前のセッションでトップタイムをマークしたロイックは、最後の最後にアタックすることになったが、彼の前にアタックしたドライバーがデグナーカーブでクラッシュしてしまい、セッションは一時中断。すでにピットアウトしてタイヤを温めに入っていたロイックの、タイムアタックは水を差された格好で仕切直しとなってしまった。アタックラップに入っていなかったが、SL用に温存していたフレッシュタイヤは、一度熱が入れられた後、再度、ウォームアップからやり直しとなり、これは大きなハンディとなった。何よりも、集中力が途切れがちになる状況だったが、ロイックは見事に自己をコントロール。仕切直しのアタックでも完璧なドライビングを披露する。結果的に、トップタイムには僅かに及ばず2番手に留まったが、見事な仕事ぶりだった。
 決勝日となった日曜日の朝一番、フリー走行のセッションが始まった時点で、空は白い雲に覆われていたが、30分間のセッションが終了するまでには青空が拡がり、再び、前日までと同様の猛暑・酷暑のコンディションに戻っていた。この朝のフリー走行はファビオでスタートし、ピットインしてロイックに交替する流れとなったが、これはレースが1000kmの長丁場で、それぞれ2〜3回ずつドライブする作戦となっており、普段から慣れたロイック→ファビオのドライバーチェンジだけでなく、その逆にファビオ→ロイックのドライバーチェンジも予定されていたから。タイム的には1分58秒台で8番手に留まっていたが、マシンのフィーリングもまずまずで、午後1時からの決勝に期待は高まっていった。

普段よりは早い時間帯に設定されていたピットウォークを終えると、すぐに決勝レースのスタート進行が始まった。この時点での気温/路面温度は33℃/51℃。気温は午後2時過ぎ、路面温度は午後3時過ぎにピークとなるはずで、しかも、終盤には雷を伴ったシャワーに見舞われることも予想されており、相当にタフなコンディションとなることは、容易に予想がついた。
スタートは、いつものようにロイックが担当する。スタートダッシュには定評のあるロイックだったが、今回は何と言っても1000kmの長丁場。無理してリスクを犯すより、ステディに周回を重ねることが重要だから、ロイックもポジションキープの作戦。後方からハイペースで猛チャージしてきたマシンには先を譲り、3位に後退しながらも、慌てることなく好ペースでラップを重ねていった。だが、10周目を過ぎた辺りから先行するマシンのペースが伸び悩み、また、後方から追い上げてきたマシンもあり、3台での接近戦が展開されるようになったところで、アンラッキーなハプニングが起きてしまった。3台での接近戦は、コースを幅一杯に使って繰り広げられたが、目の前に表れたGT300クラスのバックマーカーを処理する際に、このGT300マシンとロイックが接触してしまったのだ。

ある種レーシングアクシデントではあったが、ロイックがGT300マシンをグリーンに押し出す格好となり、ドライビングスルーペナルティを科せられてしまったのだ。16周目にはペースの伸び悩むマシンをスプーンでパスしたロイックだったが、その周を終えたところでペナルティを消化。ほぼ最後尾までポジションダウンしてしまった。
ペナルティを消化した後は、順調な周回が続いた。ライバルの居る接近戦こそ見られなかったが、長丁場のレースでは、こうして順調にラップを重ねていくことが重要になる。実際、31周を終えた時点でロイックは6番手まで復帰し、32周を終えたところでルーティンのピットに向かった。ロイックから交替したファビオは、10番手でレースに復帰したが、上位陣が総て最初のルーティンピットを終えた時点では3位にまで復帰することになる。
トップをNSXが快走し、その後方からSCとEPSON NSXが追走する。トップ3のオーダーは、50周を過ぎた辺りから、そう固定した感があった。ルーティンピットで前後することはあっても、各車が一通りピットインを済ませると、また、元のオーダーに戻っている。それも、それぞれが10秒前後の間隔を保っており、一見すると淡々とした“パレードラップ”とも思われがちだが、我がチームもライバル2チームも、緊迫した時間との戦いを繰り広げていたのだ。その均衡が破られたのはレースも終盤になってからだった。


 トップが130周を消化した辺りで「サーキットの園内で雨が降り始めた模様」との一報がアナウンスされたが、トップが134周目を走行している最中に、西コースではいきなり土砂降りとなってしまったのだ。3車それぞれに、姿勢を乱したり、あるいは少しコースをオーバーランしたり、とハプニングはあったが、最も大きなハプニングに見舞われたのは、自身2度目のスティントを走っていたファビオだった。ヘアピンでいきなりシャワーに見舞われ、足をすくわれて姿勢を乱し、GT300クラスのバックマーカーと接触。そのままクラッシュしたファビオのマシンはフロントを大破してしまい、何とかピットまで辿り着いたものの、再度ピットアウトしてのレース続行は不可能。表彰台はもちろんのこと、優勝の可能性にさえ手が届き掛けていた展開だったが、悔しいけれどもリタイアとなった。


●EPSON NAKAJIMA RACING総監督 中嶋悟のコメント

今日は大変タフなレースでしたが、我がチームも、ファビオが足をすくわれる格好でマシンを壊してしまい、残念ながらリタイアとなってしまいました。そこに至るまで、ロイックがGT300のマシンと接触してドライビングスルーペナルティを科せられたハプニングを除けば、好い流れで進んでいただけに、とても残念です。

でも、予選ではロイックが、トップタイムをマークしてスーパーラップに勝ち残り、スーパーラップでも思わぬハプニングがありましたが、それでもフロントローを確保するなど、マシンの速さは確認できました。集中力が途切れでもおかしくない状況で、ロイックは完璧な仕事をしてくれました。それは大きな収穫だったと思います。残る3戦で是非とも1勝を挙げるよう、頑張ります。
※次戦は、9月7日〜9日、ツインリンクもてぎで開催されます。


< Nakajima Racing ■home ■what's new ■rece report ■about us ■history ■link world >