シリーズ名:2007年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)
大会名:第5戦・鈴鹿サーキット
距離:5.807km×43周
予選:7月7日 曇り時々小雨・観衆:10,500人(主催者発表)
決勝:7月8日 曇りのち晴れ・観衆:16,800人(  同  )

途中赤旗も出る荒れたレースで、翻弄されながらも、2人揃って完走
予選での速さも確実に向上し、小暮が3番手、ロイックも5番手に

31 Loic DUVAL

予選5位 決勝11位

32 小暮卓史 予選3位 決勝17位
1回目の予選、果敢にスリックでアタックしたロイックはトップタイムをマーク。
2回目の予選は、完全ドライとなり、見応えのあるタイムアタック合戦となる。トップ3を制した3人。

今回は1ピットかノーピットか作戦が分かれる。決勝朝のフリー走行の速さが、他チームにも影響を与える結果に。

レース中盤に赤旗中断。これにより、1ピット作戦のチームはマージンがゼロになる。

早くも、シーズン折返しとなるフォーミュラ・ニッポン第5戦が、鈴鹿サーキットで開催された。公式予選が行われた7月7日の土曜日は曇り時々小雨。決勝日となった8日の日曜日も、雨が落ちることはなかったが曇天の空模様で蒸し暑く、絶好のレース日和、とはいかなかったが、週末2日間で3万人近いファンが詰めかけ、今季2度目の高速バトルを楽しんでいた。
走り始めは金曜日(7月6日)の合同テスト(公式練習)から。新しい空力パッケージ…もてぎで、第3戦終了直後に実施された公式合同テストでトライされていた@リアウィングのサードエレメントの使用禁止、Aサイドスカート、Bバージボードの下方延長…が、今回から実戦投入されることもあって、今回の1時間半のセッションが2回設けられていた。
1回目は晴れ時々曇り、2回目は霧雨混じりの曇り、と空模様は違っていたが、ともにコースはドライコンディションで、充分な走り込みが可能となり、テストメニューも順調に消化することができた。
公式予選は土曜日(7日)の午前と午後に、それぞれ45分間のセッションを行いベストタイムで翌日曜日(8日)に行われる決勝レースのスターティンググリッドが決定する。午前中に行われた1回目は霧雨/ウェットのコンディション。ただしセッション中盤には霧雨も上がり、コースは次第に乾いてくる展開となった。
このセッションでヒーローとなったのはロイックだった。残り10分となったところでスリックに履き替えてピットアウトしていったロイックは、まだ濡れているコースで我慢のドライビングを強いられながらタイヤを温めていく。そしてラストラップに、このセッションのベストとなる2分02秒390をマーク。暫定ポールを奪ったのだ。ロイックがラストラップに入った直後にチェッカーが出されるなど、タイミング的にもジャストな作戦だったが、ノーミスでタイヤを温め、ここ一発に集中したロイックのドライビングスキルも、もちろん見逃す訳にはいかない。一方の小暮は最後までウェットタイヤでアタックを続け2分03秒932で暫定5番手につけている。
午後のセッションは、時折小雨もぱらついたが、コースは基本的にドライコンディションとなり、全ドライバーが午前中の自己ベストを更新した。
序盤から中盤に掛けて小暮−ロイックの順に2-3番手につけ、セッション終盤を迎え、2人揃ってラストアタックに出ていった。このラストアタックで、小暮は1分43秒台中盤まで削ったものの、ポジション的には一つ後退。自己ベストを更新できなかったロイックは、5番手までポジションダウン。決して満足できる結果ではなかったが、久々に見応えのあるタイムアタック合戦だった。それにレースセットの速さは、2人とも定評があるから、決勝への期待は一層高まった。
日曜日の午前8時半から30分間、フリー走行が行われた。午後の決勝に向け、各チームが独自のメニューで行うから、そのタイムはあくまでも参考。
ここで小暮は1分45秒699、ロイックも46秒335の好タイムをマーク。モニターの上位を独占した。3番手がやっと47秒を切っただけで、4番手以下は48秒台と、2人の速さは圧倒的だったが、結果的にこれが苦戦を引き寄せることになる…。
雲が空を覆っているのは相変わらずだったが、漏れてくる日差しは次第に厳しくなり、気温/路面温度ともに上昇する中、決勝レースのスタートが切られた。それぞれ3番手、5番手と上位グリッドに並んでいた小暮とロイックだったが、ともにシグナルがブラックアウトした瞬間に大きくホイールスピンさせてしまい、ポジションダウン。少しリカバーしたものの、小暮が5番手、ロイックは7番手でオープニングラップを終えることになった。それでも、決勝ラップには自信を持っている2人だけあって、早い段階で小暮が3番手に復帰し、ロイックも6番手まで挽回していた。
だが、そこから先は少し膠着状態が続くことになる。それぞれ3台ずつの集団でトップと4位を争う格好だったが、朝のフリー走行で見せた2人の速さが、影を潜めてしまったのだ。実は朝のフリー走行で、2人の速さを思い知らされたライバルチームは、スタート時のガソリン搭載量を減らす対抗策を採ったようで、“爪”を隠す必要もあったようだ。簡単に抜くことは適わず、結果的に前を行くライバルのペースに合わせた走行を強いられることになる。

そうこうしているうちにレースは中盤戦となり、21周目の裏ストレートでアクシデントが発生した。ロイックの少し前を走っていたマシンがクラッシュ。モノコックと、エンジンが真っ二つに折れる凄まじいもので、直ちにレースは赤旗中断となった。
この赤旗中断の際、グリッド上でのタイヤ交換が認められており、ノーピット作戦のチームにとっては大きなアドバンテージとなったが、当初から1回ピットイン/2スティントの作戦だった我がチームにとっては、反対に、序盤のリードを帳消しにされるなど、大きなハンディとなってしまった。レースはセーフティカーの先導で再開されたが、その直後にルーティンピットに向かった小暮は、ピットロードに向かったセーフティカーに引っ掛かってしまい大きくタイムロス。スタートに手間取ったこともあって、大きくポジションダウンしてしまった。一方、ロイックも小暮と同様に1回ピット/2スティントの作戦だったが、赤旗中断によって序盤のリードを失ってしまうことになる。結局、上位にはノーピット作戦のマシンが並び、ロイックが11番手、ルーティンピットで思わぬタイムロスした小暮は17番手でチェッカーを受けた。

■PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント

「滑り出しからまずまずで、速さは確実に増していると思います。予選では負けてしまいましたが、好勝負を展開できるまでになりました。決勝では大きなアクシデントがあったものの、ブノワ選手に大事なかったのは不幸中の幸いでした。でも、あの赤旗で、レースの組み立て(の運不運)が、大きく左右されてしまいました。ピットインの時のセーフティカーも、予想外のアンラッキーでした。

でも、これもレースでしょう。また気持ちを切り替えて、次回の富士では好成績が残せるよう、頑張ります」


次戦は8月24−26日静岡県富士スピードウェイで開催されます。



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