シリーズ名:2002年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)
大会名:第4戦・鈴鹿サーキット UFJカードカップレース
距離:2.746km×73周
予選:7月6日 晴れ     ・観衆:1万2000人(主催者発表)
決勝:7月7日 晴れ、時々曇り・観衆:2万8000人(  同  )

スタートでジャンプアップのファーマンがシーズン2勝目
2番手スタートの松田は惜しくもリタイア
季節はずれの台風が、西日本を中心に不順な天候に拍車をかける中、梅雨の中休みとなった7月6〜7日、三重県の鈴鹿サーキットでは2002年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)のシリーズ第4戦が開催された。
今回の舞台はシリーズ開幕以来となる鈴鹿サーキットだが、3月の開幕戦と11月の最終戦が、F1GPでも御馴染のフルコースで戦われるのに対して、今回は東スペシャルコースが使用されている。
ダンロップカーブを登りきった先で右手に折れてショートカット、シケインの手前にバイパスするテクニカルなレイアウトで、抜きにくくなる分だけスターティンググリッド=予選結果が重視されることになる1戦だ。
昨年と同様、実力派のラルフ・ファーマン選手と若手の松田次生選手のコンビを擁してFNを戦う我がPIAA NAKAJIMA RACINGは、中嶋悟総監督の指揮の下、藤井一三・チームディレクターが率いるチームスタッフが手掛けるレイナードの最新シャシー。
そして、尾川自動車にチューニング&メンテナンスを委託した無限エンジン、というパッケージングも不変で、3月に鈴鹿で行われた開幕戦で1-3フィニッシュ、4月に富士で行われた第2戦ではファーマン選手が2位表彰台獲得、5月に美祢で行われた第3戦では松田選手が2位表彰台獲得、となかなか順調な滑り出しを見せている。
今回は、事前テストこそ開催されていないが、3月の開幕戦で1-3フィニッシュを飾っているだけに、再び2人揃って上位入賞し、シリーズ中盤戦への弾みをつけるべく、2人のドライバーもチームスタッフも、意気揚揚と鈴鹿入りした。
今回は松田選手のほうが順調にセットアップが進み、公式練習の8番手から1回目の公式予選では一気にトップにまで進出して見せた。
1セット目のタイヤで暫定ポールをマークして、残りを温存するという余裕だった。
一方のファーマン選手はマシンのバランスに苦しみ、また些細なトラブルもあって、公式練習の6番手から思ったほどタイムを詰めることが出来ず、1回目の予選では4番手に留まった。
勝負どころとなった2回目の公式予選でも、2人の明暗はくっきりと分かれてしまう。
ファイナルアタックで遅いマシンに引っかかってしまい、1回目のタイムを更新できなかった松田選手は、土屋武士選手にかわされたもののフロントローを確保した。
これに対してやはりマシンバランスの悪さにてこずってアンダー・オーバーに苦しんだものの、渾身のドライビングでコンマ1秒余り、1回目の自己タイムを更新したにもかかわらず、ファーマン選手は3列目まで後退してしまった。
もちろん、セッション終了後にはそれぞれのマシンのセッティングの違いを分析し、松田選手のマシンに近いセッティングで、ファーマン選手のマシンもセットし直されたが、パッシングポイントが少ない東スペシャルコースだけに、73周の決勝レースでは、特にファーマン選手はタフな戦いを強いられることになりそうだった。
早朝のにわか雨によって、朝一番で行われるフリー走行はウェットコンディションで始まったが、やがて晴れ間が広がってきてコースはハーフウェットからほぼ完璧なドライコンディションへと変わっていった。
2人のドライバーは、このフリー走行でのポジションは中団に埋もれていたが、ともにマシンのフィーリングは上々。特にファーマン選手のマシンは、予選で苦しめられたアンバランスさが影を潜めており、走行後にはファーマン選手もいつもの陽気な笑顔を取り戻していた。
土曜日に続いて日曜日の第2レース(シリーズ第12戦)で、わがチームから出場している佐藤晋也選手が3位表彰台をゲットしたF3やワンメイクレースなどのサポートレースも終わり、いよいよメーンイベント、FNのスタート進行となった。
それまで、黒い雲が広がったり、晴れ間が広がったりと、曇りと晴れが交互していた天候は、FNのスタート時刻が近づくにつれて一気に青空が広がっていき、同時に気温/路面温度は一気に上昇していった。
ポールシッターの土屋選手が、マシントラブルでスタートできないというハプニングがあったものの、スタート進行自体は順調に進んでいった。
グリーンランプが点灯すると同時に、絶妙なスタートダッシュを見せたのは松田選手。ホイールスピンが皆無の、まさにパーフェクトなスタートダッシュで、楽々とトップを奪って1コーナーへと向かっていった。
5番手スタートとなったファーマン選手も、これに負けないくらいの好ダッシュで、松田選手に次ぐ2番手で1コーナーを立ち上がっていく。我がチームにとっては最高の体制でレースをスタートすることになったのだ。
僅かにトップスピードの鈍った松田選手のテールに喰らいついたファーマン選手は2周目の1コーナーで松田選手に代わってトップに立つ。
だが、次のストレートでは明らかに松田選手のスピードは鈍ってしまい、後続の服部尚貴選手や脇坂寿一選手にもかわされてしまい、ストレートを力なく駆け下りてきてピットロード出口付近のコースサイドにマシンを止めてしまった。実はクラッチトラブルが発生しており、これで万事休す。
悔しそうな顔でピットに引き上げてきた松田選手だが、気持ちはもう次のラウンド、2週間後のもてぎ戦へと切り替わっていた。
一方、松田選手をかわしてトップに立ったファーマン選手は、レース序盤から猛チャージ。
後続の服部選手に対して、1周につきコンマ2,3秒ずつ差を広げていき、5周目を終えた時点で2.5秒の差を築いていた。その5周目にはただ一人57秒台のタイムをマークするほどで、開幕戦での独走劇を思い起こさせる快走だった。
その後服部選手もペースを挙げ、2人の差は一旦は2秒を切るまでになったが、ここで再びファーマン選手がペースアップ。13周目には3秒、19周目には4秒にまで、その差は拡がっていく。
そして20周目を終えたところでファーマン選手はピットイン。上位陣では最初にタイヤ交換を行った。
これをきっかけにしたように、次の周からは上位陣が続々とピットインしてタイヤ交換することになり、全車がルーティンピットを終えた25週目には、ファーマン選手が再びトップの座をキープしていた。
しかも2番手につけた光貞秀俊選手とのタイム差は約10秒まで拡がっていた。
その後ファーマン選手は、光貞選手との差をコントロールしながら着実に周回を重ねていき、開幕戦以来のトップチェッカーで今シーズン2勝目。鈴鹿では堂々たる3連勝を飾ることになった。

PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント
 
シーズン2勝目を飾ったファーマン選手はドライバーズランキングでも再びトップに浮上し、チームランキングでもトップをキープすることが出来ました。惜しくもリタイアに終わったものの、松田選手も充分な速さを見せてくれています。シーズンはいよいよ中盤戦。2週間後にはシリーズも折り返しとなるもてぎラウンドが控えています。ダブルタイトルの奪回を目指す我がPIAA NAKAJIMA RACINGは、この勢いを大切にしながら、一歩一歩、目的に向かって前進を続けていきます。皆様方にはこれまで同様、ご声援をよろしくお願いします。

※次戦は、7月20-21日、栃木県ツインリンクもてぎで開催されます。
Round3
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