|
|
シリーズ名:2002年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN) |
|
4番手スタートから好走を見せた松田が2位入賞
ポールからトップ独走のファーマンは惜しくもリタイア |
|
国内各所の行楽地が、多くの人手で賑わったゴールデンウィークも過ぎ、早々と夏日
になる日があったかと思えば、3月下旬のような肌寒い日があったり、と不順な天候が 続いていた5月18〜19日、本州最西端の山口県にある美祢サーキットにおいて、2002年
全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)のシリーズ第3戦が開催された。 今回の舞台と なった美祢サーキットは、開幕の鈴鹿サーキットや第2戦の富士スピードウェイと違っ てタイトコーナーが連続するテクニカルサーキット。 スタートのポジションが決勝結果 を大きく左右するだけに、普段以上に予選から、激しいタイムアタック合戦が繰り広げ られるものと思われた。 我がPIAA NAKAJIMA RACINGは昨シーズン、99年、2000年に続いて3年連続のダブルタ イトル(=ドライバー&チーム)を目指したものの、リズムを狂わせてしまい果たせず、 今シーズンは、再びチャレンジャーとして王座奪還を目指すことになった。 その体制は、基本的に昨年と同じで、実力派のラルフ・ファーマン選手と若手の松田次生選手のコンビに、中嶋悟総監督の指揮の下、藤井一三・チームディレクターが率いるチームスタッフが手掛けるレイナードの最新シャシー。 そして、尾川自動車にチューニング&メンテナンスを委託した無限エンジン、というチーム体制となっている。 だが、開幕戦での1-3フィニッシュ、第2戦もファーマン選手が2位表彰台獲得、となかなか順調な滑り出 しを見せ、この勢いをさらに加速するためにも、ここ美祢での第3戦は重要な一戦とな っている。4月中旬に、ここ美祢サーキットで実施された事前テストでもトップレベル のタイムをマークしており、チームスタッフは意気揚揚と、美祢サーキットにやってき た。 いつものように、土曜日午前の公式練習から走り初めた2人のドライバーは、事前テ ストのときと同様に快調に周回を重ねていく。そして公式練習でトップタイムをマーク したファーマン選手は、午後の公式予選になっても快調な走りを披露し、まずは午後1 時から行われた1回目のセッションでも1分14秒台半ばのトップタイムをマーク、暫定ポ ールを奪って午後3時15分から始まる2回目のセッションに臨むことになった。 その2回 目のセッションでもペースセッターとなったのはファーマン選手。9周目に1分14秒台に 入ってトップに立つと、14周目にはついに13秒まで詰めてみせる。その後脇坂寿一選手 や土屋武士選手が、これを上回るタイムを出して逆転したものの、セッションも残り10 分を切ったところでラストアタックにピットアウトして行ったファーマン選手は1分13 秒360のニューレコードをマーク。開幕戦以来、2戦ぶりシーズン2度目のポールポジシ ョンを奪うことになった。 一方の松田選手も、公式練習こそ奮わなかったが1回目のセ ッションでは5番手まで進出、ファイナルセッションではファーマン選手とのフロント ロー独占も期待された。だが14周目、ファーマン選手に次ぐ3番手となる1分14秒078を マークしたものの、ラストアタックに入る直前にコースの一部で、コースアウトしたマ シンを回収するためにイエローフラッグが出されてしまい、それ以上のタイム短縮はな らずに、結局4番手で予選を終えることになった。 決勝日となった日曜日、青空が顔を覗かせている一方で、黒い雲も少しずつ広がってはいたが、常にドライコンディションのまま朝一番のフリー走行からサポートレースとスケジュールは順調に消化され、いつものような賑わいを見せたピットウォークを終えると、いよいよメーンイベントとなるFNの決勝スタートだ。 トップタイムではなかったものの、それに近いレベルでコンスタントなラップを重ねてフリー走行を終えた2人のドライバーは、充分な手応えをつかんだままグリッドにマシンを並べる。そして1周のフォーメーションラップの後、62周の決勝レースが幕を切って落とされた。ポールポジションのファーマン選手はまずまずのスタートで、セカンドポジションから好ダッシュを見せた土屋選手に一瞬並びかけられたものの、1コーナーまでには自分のポジションを確保し、トップで1コーナーを立ち上がっていく。4番手スタートの松田選手は抜群の好ダッシュを見せ、脇坂選手をパスしている。土屋選手に続いて3番手でオープニングラップを終えた松田選手は、2周目の1コーナーを立ち上がったバックストレートで、ラインをクロスさせて土屋選手のインに並び2コーナーにアプローチしていく。だが土屋選手もそのまま譲らず、3コーナーを過ぎても2台はサイドbyサイドのまま。続く第1ヘアピンでは右コーナーに対してアウト側となる松田選手が譲る恰好となったが、まさに手に汗握るデッドヒートとなった。 そんな松田選手のファイトを尻目に、ファーマン選手はトップを快走、2周目には1分 18秒台、3周目には17秒台とハイペースで逃げにかかり、3周を終えたところで2位の土 屋選手に早くも3秒2の大差をつける。2位以降の上位陣が17秒台中盤にペースを上げる 中、6周目から10周目まで16秒台のハイペースでラップを重ねたファーマン選手は、11 周目以降は17秒台前半にペースを落としたものの、それでも2位以下との差はじわじわ と拡がり、レースも4分の1、15周目を終えた時点で2位との差は10秒以上にもなってい た。 3位につけた松田選手は、2位の土屋選手を猛プッシュし続けていたが、パッシング ポイントの少ない美祢サーキットとあって抜くまでには至らず、タイヤ交換がポイント となるのは明らかだった。 そんな状況の中、最初にタイヤ交換を行ったのは本山哲選手で、ピットアウトの後は 16秒台のハイペースで猛チャージを仕掛けてきた。4周後に松田選手がピットイン。 6.3 秒と、本山選手を上回る素早さでピットアウトして行くが、惜しくも本山選手の後方に つける形で後半戦に臨むことになった。一方、トップを快走していたファーマン選手は 21周を終えたところでピットイン。このタイミングで一度は土屋選手にトップの座を譲 ることになるが、すぐに土屋選手もピットイン。事実上ファーマン選手はトップ独走の まま、後半戦に入ることになった。この時点でのオーダーはファーマン選手、約10秒遅 れて本山選手が2番手。松田選手は本山選手に僅差の3番手につけ、その隙をうかがう恰 好となっていた。 レースも折り返しを過ぎて後半戦に入った33周目、それまで1分16秒台でコンスタン トにラップを重ねてきたファーマン選手が18秒台にペースダウン。2周続けて18秒台で 周回したファーマン選手は35周目のストレートを力なく通過し、コントロールラインの 先でコースサイドにマシンを止めた。実はミッショントラブル。3速が使えなくなって しまったのだ。このウィークエンド、ほとんど総てのセッションで最速タイムをマーク し、決勝レースも前半戦を席巻していたファーマン選手だったが、ここで惜しくもリタ イアとなってしまう。 これで本山選手、松田選手のバトルはトップ争いに昇格する。1秒弱の接近戦を繰り 広げる2台だったが、やはりチャンピオン経験者の本山選手には隙がなく、何よりもパ ッシングポイントの少ない美祢とあっては松田選手のファイトもここまで。 結局0.3秒 差の2番手でチェッカーを受けレースを終えることになった。
|
|
■PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント |
|
※次戦は、7月6〜7日、三重県鈴鹿サーキット東コースで開催されます。 | |
Round2 |