例年よりも早く開花した桜の見頃は去り、子供達の春休みも最後の週末となった4月6
〜7日、昨年に続いて『21世紀 日本一速い男決定戦』をキャッチフレーズに掲げる国 内トップフォーミュラ、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)の第2戦が富士スピー
ドウェイで開催された。
2週間前の開幕戦で舞台に選ばれた鈴鹿サーキットともに、国 内二大サーキットとして長い歴史を誇る富士スピードウェイは、世界的にも超の字が付
くほどの高速サーキットで、パッシングシーンを繰り返しながらのハイスピードバトル が予想された。
99年、2000年と2年連続で獲得したダブルタイトル(=ドライバー&チーム)の奪還を 目指す我がPIAA NAKAJIMA RACINGは、実力派のラルフ・ファーマン選手と若手の松田次生選手のコンビに、中嶋悟総監督の指揮の下、藤井一三・チームディレクター率いるチームスタッフが手掛けるレイナードの最新シャシー。
そして、尾川自動車にチューニ ング&メンテナンスを委託した無限エンジン、と昨年同様のチーム体制で臨むことにな ったが、2週間前に鈴鹿で開催された開幕戦では1-3フィニッシュと、上々のシーズン滑
り出しを果たしている。
さらに、3月初めに、この富士スピードウェイで開催された合
同テストでは、不順なコンディションの中、あっさりとトップレベルのタイムをマーク していただけに、チームの意気は一層高まっている。
走り初めとなった土曜日朝の公式練習では、ファーマン選手は予選のセッティングを、一方の松田選手は決勝のセッティングを煮詰めていく。ドライバー2人のデータを共有する2台体制をフルに活用する作戦だ。
昨シーズンの終盤から3戦連続で優勝を飾っているファーマン選手はもちろん、若いながらもFN優勝経験を持つ松田選手も、昨年の最終戦ではポールポジションを奪うなど、その速さも遜色ないレベルになっている。
2台体制をフルに活用するのは、このように2人のドライバーが、同じようなポテンシャルを持っているからこそ可能になる作戦でもある。
公式予選は土曜日の午後。1回目のセッションが午後1時30分から、2回目のセッショ ンが3時20分から、それそれ45分間に渡って予定されていたが、クラッシュやスピンア
ウト、そしてトラブルストップなどのアクシデント&ハプニングが続出。
ともに2回ずつ、赤旗で中断され、タイムアタックのタイミングで運・不運が分かれてしまった。
勝負どころとなる2回目のセッションは40分遅れて開始され、コンディションはドライのままだったが、雨が降ることも予想されており、チームにとってはアタックのタイミングを計るのが難しい、という一面もあった。
そんな状況の中、ファーマン選手が1分15秒969で3番手、松田選手が1分16秒018で4番手、とまずまずのグリッドを得る。
ともに絶好のアタックラップを赤旗に阻まれてしまったが、特に松田選手は最後のアタック中に2回目の赤旗が提示されてしまい計測中止。データ上では充分に16秒を切る状況だっただけに残念だが、それでもともに2列目からのスタート。比較的パッシングし易いコースレイアウト、ということもあり、2人のドライバーはともに、決勝でのハッスルと、表彰台への生き残りを決意していた。
夜半の雨がコースを濡らせていたものの空は晴れ上がり、朝一番にサポートイベント が開催されたこともあって、日曜日の午前9時25分からのフリー走行が始まる頃までに
は、コースは完全なドライコンディションとなる。いつものように2人のドライバーは 決勝用に充分なガソリンを積み込んだ状態で走行を続け、ともに1分18秒台半ばと順調
なところを見せていた。
ピットウォークに続いてドライバーパレード、そしてセミファ イナルのワンメイクレース、とプログラムが進み、いよいよメインイベントであるFNの
決勝レースが始まった。好スタートを切ったポールポジションの本山哲に続いてファー マン選手も好ダッシュ。2番手で1コーナーへとアプローチしていったが、2番手グリッ
ドからスタートで失速した土屋武士選手に行く手を塞がれる恰好となった松田選手は後 方集団に飲み込まれてしまい、何と8番手まで後退してオープニングラップを終えるこ
とになる。
オープニングラップを終えたところでトップを逃げる本山選手と、2番手につけたフ ァーマン選手のタイム差は約1.2秒。以後も本山選手は快調に周回を重ねていく。
ファ
ーマン選手も懸命の追走を続けるが、その差はじわじわと開いていく。マシンの仕上が り具合で充分な手応えを感じていたファーマン選手だったが、今回は、本山選手のマシ
ンが、さらに好調だったようで、まるで開幕戦でファーマン選手が見せつけたように、 トップを快走する本山選手。だが、レースは始まったばかりで、ファーマン選手も追撃
の手を緩めることはなかった。
一方、スタートでつまづいた松田選手は、土屋選手を相手にテール・ツー・ノーズのバ トルを繰り広げていく。最終コーナーの立ち上がりからスリップを使ってコントロール
ライン辺りでは横に並ぶ松田選手だったが、セッティングの違いかストレート後半では 土屋選手の方が伸びる。
そんなバトルを数周続けた後、8周目の1コーナーで松田選手が 勝負に出る。
1コーナーへのアプローチでブレーキングをギリギリまで我慢してコーナー のインを刺す作戦だったが、ちょっとだけ我慢しすぎたか、1コーナーでスピンしてし
まう。
コース上に松田選手がストップしたことでセーフティカーがコースイン。上位グルー プは一斉にタイヤ交換に入る。本山選手に続いてピットインしてきたファーマン選手を
ピットクルーは手際よくタイヤを交換して再びレースに送り出す。だが、このタイヤ交換でも順位に変動はなく、それ以降も本山選手とファーマン選手の間隔は一進一退の展開を繰り返した。そしてチェッカーまで、そのオーダーは変わることなかった。
しかし2位入賞で6ポイントを加算したファーマン選手は開幕戦での10ポイントと合せて、依然としてランキングトップをキープしている。
一方、一度はコース上にストップした松田選手だったが、後続マシンが通過した後に 1コーナー先の下り坂を利用してエンジンを掛け、再スタートする。そして次の周には
ピットインしてタイヤを交換、再びコースインしていく。
ただし再スタートした際のエ ンジン始動が押し掛けに当たるとして20秒間のペナルティストップが科せられてしまい 2周遅れとなってしまった。
だが、ここから彼のハッスルプレーが始まった。3位につ けた脇坂選手の後方でコースインしていった松田選手は、周回遅れとなったにもかかわ
らずトップ3と遜色ないタイムで周回を重ねていく。
そして10位でチェッカー。観客席 から大きな声援を受け、喝采を集めることになった。
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