シリーズ名:2006 オートバックス SUPER GT(S-GT)
大会名:第6戦・Pokka 1000km RACE
距離:5.807km×173周
予選:8月19日 晴れ・観衆:2万0000人(主催者発表)
決勝:8月20日 晴れ・観衆:3万5000人(  同  )

ドライバーとチームが一丸でノーミスのレースを展開し堂々の4位入賞
32 EPSON NSX  予選15位 決勝4位

真夏の祭典Pokka1000Kmが、今年はS-GTシリーズの6戦として組み込まれた。

土日はまさに酷暑、真夏日となった。
今回二人のドライバーで5スティント、1000km走行する。
午後6時、最後4回目のピットインでロイック選手が乗り込む。
ここまでノーミス、ノーハプニング。

スプリントレースのような激しい戦いを終えたEPSON NSX.。
最後までノーミスで、 今季最高4位でフィニッシュ。

夏休みも後半となった8月18〜20日、鈴鹿サーキットではSUPER GTのシリーズ第6戦、インターナショナルPokka1000kmが開催された。
今年で35回目となったPokka1000kmは、レース終了後に打ち上げられる花火とともに、鈴鹿の夏の風物詩となっている、国内で屈指のクラシックイベント。昨年まではシリーズとは関係ない単独のイベントとして開催されてきたが、今年からはシリーズの1戦として組み込まれており、通常300km〜500kmで覇を競っているGTマシンが、1000kmの長丁場をどう戦うか? が注目を浴びていた。
公式練習日となった金曜日(8月18日)こそ荒れた天候に翻弄されたが、公式予選が行われた土曜日(19日)と決勝日の日曜(20日)は青空と猛暑が戻ってきて、真夏の耐久らしいコンディションとなった。
土曜日曜の2日間で5万5000人のファンが詰めかけ、レースと花火を楽しんだ。
 鈴鹿でSUPER GTが開催されるのは、これが今シーズン2度目。最初は3月のシリーズ開幕戦で、昨年まで、それぞれヨーロッパと国内でF3を戦っていたロイック・デュバルと武藤英紀にとっては初の"ハコ・レース"。期待に応えて速さを見せたがその一方で、ルーキーらしいミスもあった。あれから5ヶ月。
すでに5回の実戦を経て着実に進歩した彼らは、前回の菅生ラウンドではベストとなる5位入賞を経験。
当然今回の目標は"その上"となる訳で、ドライバー自身だけでなくチームスタッフも気合充分の鈴鹿入りとなった。
なお、1000kmの長丁場に備えてサードドライバーを登録するチームも多かったが、ロイックと武藤、彼らの若さに期待したチームでは、いつも通り2人のドライバーでの参戦となった。
 走り始めは、いつものように金曜日の公式練習から。通常ならば午前と午後の2セッションだが今回は、レース終盤にライトを点灯しての"夜間走行"もあることから、午後5時過ぎから1時間のナイトセッションが設けられていた。
だが、そのナイトセッションも含めて、金曜日の走行時間のほとんどが、ウェットコンディション。
一時的には横殴りの雨に見舞われることもあり、ドライでの走行が限られて しまい、マシンのファインセットを煮詰めきれなかったのは痛かった。それでも、ほぼドライのセッションでは11番手に留まったものの、ウェットとなったナイトセッションでは5番手と、まずまずのタイムをマーク。
2人のルーキーは、普段と違ったシチュエーションでもすぐに馴染んで早い段階からポテンシャルを発揮。マシンのフィーリングも悪くない様子で本番に期待が高まった。
 公式予選が行われた土曜日は、雲こそ多かったものの雨が落ちることもなく、2回のセッションを通じてドライコンディションに終始した。午前中に行われた公式予選1回目のセッションでは、いつものように先ずはロイックがタイムアタック。1セット目のニュータイヤで1分58秒714まで詰め、一度ピットインに戻ったが、そこで2セット目のニュータイヤに履き替えてもう一回アタックに出ていく。そして計測2周目に1分57秒838をマークして3番手まで進出した。
だが、その直後にS字コーナーでストップしてしまう。ガス欠だった。実はピットインしてタイヤを交換した際に、合わせてガソリン補給も行っていたのだが、給油装置のトラブルか予定していた量のガソリンが補給されていなかったようだ。
SUPER GTではトップ10グリッドは1 カーアタックのスーパーラップによって決定されるが、そのスーパーラップに進出するためには、1回目のセッションで上位10台までに入っておく必要があるが、同時に2人のドライバーが予選通過基準タイムをマークすることも必要だ。ロイックが好タイムをマークして最初の条件はクリアーできたのだが、S字でストップしたために武藤の方はタイムアタックすら出来ていなかったから、このままでは予選落ちとなってしまう。
午後のセッションで武藤が7番手となる1分58秒982をマーク、予選落ちこそ免れたものの、結果的にGT500の最後尾グリッドからのスタートとなってしまった。
 決勝日となった日曜は、早朝から猛暑の気配。午後の決勝が始まる時点では気温31℃、路面温度は55℃にも達していた。最初のスティントはロイックが担当し、酷暑のコンディションでレースがスタートした。
GT500クラスの最後尾、15番手からスタートしたロイックは、序盤から着実なペースで周回を重ねてポジションをキープ。実はタイヤのロングランテストが出来ていなくて、本来的には4回ピットイン/35周ずつの5スティントだったが、場合によっては最初のスティントが短くなることも考えられていた。だが、ロイックは着実なペースで周回を重ね、予定通り35周を終えたところで最初のピットインを行った。ライバル勢は最初のスティントが短く、ピットインのタイミングが早かったこともあり、ロイックがピットインする直前のポジションは3位。実際に代わった武藤がピットアウトした時点でも9番手をキープしていた。
ここからは武藤がハイペースで追い上げ、やはり3番手まで進出し、35周を終えてピットイン、2度目のドライブとなるロイックに交替する。3回目のスティントはロイックの担
当で、予定周回数はやはり35周。9番手でピットアウトしていったロイックは、6番手まで追い上げ、予定通り35周でピットインしている。
 ここまで都合105周。距離にして約600kmで、これまでに未到のレベルとなっていたが、ここから先はまさに別世界。武藤が、この日2度目のドライビングで4番目のスティントを担当し、ロイックが3度目のドライビングで最後のスティントを走る。
ライバルチームではマシンがトラブルに見舞われたり、あるいはコース上でアクシデントが発生したり、とハプニングの連続だったが、我がEPSON NAKAJIMA Racingは全く作戦通りの展開で周回数を重ねていく。しかも、ロイックと武藤は、時にはトップグループを上回る速さも見せながらの走行だったし、ルーティンのピットインではチームスタッフも見事なピットワークでこれをサポート。文字通りチーム一丸となってノーミスのレースを展開した。
武藤の担当した4回目のスティントあたりからは、4位のポジションをキープするようになる。前を行く3位のマシン、あるいは後方に迫る5位のマシンとは、それぞれ間隔僅か。コンマ1秒詰めたと思えば、次の周にはコンマ1秒離される。まるでスプリントレースのような、激しさを内に秘めた展開となったが、ドライバーもチームも全くノーミスのまま、残り周回数だけが減っていく展開となった。
午後6時過ぎにはナムコタワーから『ライト・オン』を指示するボードが提示され、ナイトレースの様相を見せ始めた。そしてトップのマシンが173周を終えたところでチェッカー。コンビを組んだ武藤と、チームスタッフ全員が待ち受ける中、ロイックがチェッカー。今季ベストとなる4位だった。

●EPSON NAKAJIMA RACING総監督 中嶋悟のコメント
 予選では思わぬハプニングもありましたが、決勝では総てが予定通りに運びました。ドライバーはもちろんノーミスで頑張ってくれましたが、チームスタッフも完璧な仕事をしてくれました。内容的には最高のレースでした。
トップから1ラップ遅れとなったのは事実ですが、今回は結果以上に大きな手応えを掴むことが出来ました。次回のもてぎ(決勝は9月10日)では、この良い流れを持続して、総仕上げのレースにしたいですね。

※次戦は9月8日〜10日栃木県ツインリンクもてぎで開催されます


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