シリーズ名:2006年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN) |
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ロイックが見事な走りで第2戦の鈴鹿以来となる2勝目をゲット
ドライに変わった終盤、猛プッシュの武藤がベストラップをマーク |
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31 Loic DUVAL |
予選 4位 決勝1位 |
32 武藤英紀 | 予選10位 決勝 10位 |
セカンド・ローからスタートしたロイック選手は絶妙なスタートで2位に進出。 |
武藤選手は、ファステストラップをマーク。 | ||
2戦目の鈴鹿優勝から2勝目。 |
チームインパルが2.3位に入り、チームチャンピオンを決めた。
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数日の残暑が嘘のように、めっきり冷え込んだ9月16〜17日、スポーツランド菅生は全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(以下Fニッポン)のシリーズ第7戦が開催された。年に一度の東北決戦とあって、この日を楽しみにしていたファン、1万6000人が雨交じりの天候をおしてサーキットに集まってきた。 その熱意が雨雲を振り払ったように、雨は小止みとなり、ウェットコンディションはやがてドライコンディションへと変わっていった。 この難しいコンディションの中、31号車を駆るロイック・デュバルは3番手グリッドから好ダッシュ。タイヤ交換のタイミングも絶妙で、トップを奪った後も力走を続け、4月の鈴鹿以来となる2勝目を飾った。 また32号車をドライブした武藤英紀も、ドライに変わったレース後半は猛プッシュの連続。ベストラップをマークして喝采を浴びることになった。 ここスポーツランド菅生でFニッポンは年1回の開催。事前の合同テストも実施されていないから、ルーキードライバー2人、ロイック・デュバルと武藤英紀にとっては、SUPER GTで1レース戦ってはいたものの、走行経験の限られたサーキットのひとつ、ということになる。 その一方で、チームにとっては相性の好いコースでもある。これまでのデータを基に、速いマシンを用意してレースウィークを迎えることになり、走り始めとなる金曜日は順調な流れで過ぎていった。 土曜日の公式予選は、午前中に行われた1回目のセッションがドライ。午後の2回目がウェットとなり、事実上、午前中のタイムでグリッドが決定した。 その1回目のセッションでロイックは、1分10秒032まで詰め4番手に進出。 一方の武藤もラストアタックで1分10秒495をマーク、10番手でセッションを終了している。 午後のセッションは、開始前から雨粒がパラついていたが、セッションスタート直後に本降りとなりドライタイヤでのアタックは無理なコンディションとなった。 チームでは、決勝レースが雨になることも睨んでレインセットを詰めていき、ロイックが1分23秒台に入れてセッショントップタイムをマーク。 武藤の方は、メニューの多さに戸惑いを見せながらも1分25秒台の半ばまで詰め、レインセットもほぼ満足できる状況で予選を終了した。 決勝レースが行われる日曜日も、雨交じりの1日となった。朝一番のフリー走行もウェットセッションで始まったが、セッション終盤にはコースの水膜も薄くなってきてロイックはドライタイヤでも走行。レインタイヤでのタイムを上回ることはなかったが、午後の決勝に向け手応えを掴むことになった。 武藤の方も、前日に増して様々なメニューを消化。決勝はドライでもウェットでも、大いに期待できそうだった。 決勝がスタートする頃には雨も小止みになったが、コースは完全なレインコンディション。全車がレインタイヤを装着してグリッドに整列した。 予選でエンジンを載せ替え、規則によって10グリッド降格したマシンがあり、ロイックは3番手、武藤は9番手のグリッドからのスタートとなる。 セカンドロー、3番手グリッドから好ダッシュを見せたロイックは、フロントローの2台に先んじ、やはりセカンドローから好スタートを切った金石選手に次ぐ2番手で1コーナーを回っていく。 一方の武藤も、水しぶきで視界が制限され、また温まりきってないタイヤでグリップが不確かな中、9番手のポジションをキープしたままオープニングラップを終え、レース序盤は大きな混乱もなく過ぎていった。 スタートから10周を終えた辺りでオーダーが落ち着いてくると、ロイックは逃げる金石選手に猛プッシュを始める。数秒あったギャップは見る見る削られていき、20周を過ぎたところではコンマ5秒前後まで接近する。だが、ダウンフォースや視界の関係もあって、それ以上近づくのは無理。ロイックは、しばらく我慢の走行を強いられることになる。 そうこうしているうちに、コースは次第に乾き始めてきた。ルーティンピットでドライタイヤに履き替えることは、各チーム共通した作戦だったが、そのタイミングは難しいところ。 ウェットコンディションでの速さには定評のあるロッテラー選手が先陣を切り、26周を終えたところでピットインしてスリックタイヤに履き替えていたが、ピットアウト直後にスピンアウトしていることからも、その難しさが分かるだろう。 我慢の走行を続けながらもクールにコースコンディションを分析、ピットと無線で交信しながらタイヤ交換のタイミングを探っていたロイックが、ピットインしてきたのは33周を終えた時だった。 チームはいつものように的確なピット作業でロイックを送り出すことになったが、何よりも、このピットに入るタイミングが絶妙だった。 7番手まで後退してレースに復帰したロイックだったが、ルーティンピットを終えたメンバーの中では最上位。しかも、次の周を終えたところでトップを走行していた金石選手が、更に金石選手に代わってトップに立った松田選手もその2周後にはルーティンのピットインを行っているが、ともにロイックの鼻先でピットアウトしながらも、タイヤが温まりきっていない条件では、すでにタイヤの温まっていたロイックのチャージをかわすことは不可能で、バックストレート先の馬の背コーナーでロイックは、2度も見事なパッシングシーンを演じることになる。 これでトップに立ったロイックは、コースコンディションが良くなってくるのに比例してペースアップ、トップを快走した。後方、2番手、3番手につけたトレルイエ選手と松田選手が接近戦のバトルを繰り広げていたことも手伝い、レース後半は独走状態。 第2戦の鈴鹿以来となる2勝目を飾ることになった。 |
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一方、10位前後をキープしながらもレインタイヤでペースの上がらなかった武藤は、ロイックよりも少し早く、29周を終えたところでピットイン。 スリックに交換して再スタートしていった。交換直後はまだ濡れていた路面と苦闘することになったが、タイヤも温まり、またコースが乾いて行くに従ってペースアップ。 レースも後半にはいるとトップグループ並のハイペースで周回を重ねることになる。だが、好事魔多し。コースアウトしたマシンがあって黄旗が提示されていた区間で、交換したタイヤが温まりきってなかったマシンをパスしたことで黄旗無視のペナルティ。 48周を終えたところでピットロードに向かい、ペナルティストップを消化することになった。再度ピットアウトしていった武藤は、トップからは周回遅れとなってしまったが、それでも武藤の勢いは衰えることなかった。54周目にはロイックが1分14秒388の最速ラップをマークしたが、武藤はその周に13秒984を叩き出し最速ラップを塗りかえる。 さらに次の周には1分13秒676まで詰め、以後も1分13秒台を連発。 レース終盤に1分13秒台前半から12秒台に突入、最終ラップには1分12秒418と、このレースのファステストラップをマーク、10位でチェッカーを受けた。 ポイントこそ手にすることは適わなかったが、全ドライバーのベストラップの中で、2番手よりもコンマ3秒も速い、圧倒的なファステストラップで、その存在をアピールすることになった。 |
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■PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント |
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※ 次戦は、10月20日〜22日栃木県ツインリンクもてぎで開催されます。 | |||