シリーズ名:2006年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN) |
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中盤はトップ快走したデュバルは、天候に弄ばれながらも6位入賞
後半でのタイヤ選択が裏目に出た武藤も8位チェッカー |
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31 Loic DUVAL |
予選 21位 決勝 6位 |
32 武藤英紀 | 予選13位 決勝8位 |
金曜日のフリー走行からトラブルに見舞われたデュバル選手 予選基準タイムをクリア出来ずに最後列スタートとなる。 |
残念な予選結果となったロイックですが、予選終了後、バースディパーティが開かれました。 | ||
スタート直前、武藤選手はレインタイヤ、最後列のロイックは1台だけグリッド上でスリックタイヤへ交換。 |
第2戦鈴鹿同様、波乱のレースとなったが、今回は最後のレインタイヤ交換が禍いとなってしまった。
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ロイック・デュバルが感激の初優勝を飾った鈴鹿から1ヶ月半の間をおき、フォーミュラ・ニッポンシリーズ第3戦がツインリンクもてぎで開催された。 公式予選が行われた土曜日(27日)は雨模様で明けた。1回目のセッションが始まる直前には実際に雨が降り始めてしまい、完全なウェットでセッションが開始された。ただし雨はやがて止み、次第にコースが乾き始める難しいコンディションだ。 前日の公式合同テストでトラブルに見舞われた31号車のロイックだが、この日はまた新たなトラブルが発生、セッション序盤を走っただけで走行中止せざるを得なくなってしまう。チームでは午後の2回目までに原因追究に余念がなかった。 一方、32号車の武藤英紀は前日から引き続いて、好い流れで走行を続けていた。 コンディションの変化とともに目まぐるしく順位が入れ替わる中、モニター上部に何度も進出したが、終わってみると13番手、流れの中では意外で、ちょっと不満の残るポジションとなった。 インターバルの間、降ったり止んだりを繰り返した雨は、2回目のセッションが始まる前にひとしきり降った後に小止みとなる。 1回目と同様、コースは完全なウェットで午後3時20分から2回目のセッションがスタートした。 気温17℃/路面温度19℃は、最後まで変わることなかったが、1回目と同様に後半になってコースが少しずつ乾き始め、最後にはドライタイヤでのアタックも可能になった。 ただし、1回目ほどには乾ききるまで至らず、コンディションとしては1回目の方が明らかに良かった。 前日からトラブルに見舞われ続けた31号車のロイックだが、インターバルの間に施した処置で、何とか午後のセッションでは思いっきり走ることができた。序盤はレインタイヤでマシンとコースのコンディションを確認していたデュバルは、終盤になってドライタイヤに交換、渾身のアタックを行った。 実は午前中のセッションで通過基準タイムをマークできなかったため、ドライタイヤで果敢にアタック。1分45秒748でセッション2番手のタイムをマークしたが、コンディションの違いもあって1回目の通過基準タイムをクリアーすることは出来ず、出走嘆願書を提出して最後列からのスタートとなった。 1回目のセッションで基準タイムをクリアーしている武藤は、コンディションの違いもあって、自己ベストを更新する可能性はなかったものの、こんなコンディションでのドライタイヤを経験するために敢えて走行。タイヤを温めきらないうちにセッション終了となったが、ルーキーにとっては好い経験を積むことになった。 2回目のセッション終了後、ピット裏のチームテントにおいて、ロイックのバースデーパーティが行われた。82年の6月12日にパリ郊外のシャルトルで生まれたロイックは、6月で24歳になる。お誕生日には少し早いが、このレースにあわせて皆でお祝い、同時に、武藤も含めて翌日の決勝レースに向けての激励会ともなった。 決勝日となる日曜日(28日)は早朝から雨が降り続いた。朝一番で予定されていたフリー走行も、当初の予定より15分遅れて9時15分から、15分間に短縮して行われた。もちろん完全なウェットコンディション。 セッションを通じてヘビーレインが続いた。そして皮肉なことに、セッションが終了した途端に雨足は弱まった。 前夜、遅くまでチェックした甲斐もあって、31号車もトラブルフリー。勇躍ピットを出ていったロイックは早い段階で2分00秒906をマーク。最終的に2番手でセッションを終えた。 武藤はクリアラップが取れず、視界を遮られて苦労していたが、一度ピットインした後のファイナルラップにセクタータイムでベスト→自己ベスト→自己ベストとハイペースで周回。 すでにチェッカーを受けていたためにセクター4を走る訳には行かず"幻の"ベストタイムとなったが、マシンの状態は完璧。午後の決勝に向けて、大いに期待を繋ぐことになった。 午前中に降っていた雨も小止みになったところで決勝レースが開始された。まだ完全なウェットのコンディションだったが、最後列スタートのロイックは、田中耕太郎エンジニアや中嶋悟監督と相談の上、スリックタイヤを選んでスタートした。 この作戦はピタリ的中し、路面が乾いてくるに連れてロイックのペースが上がっていき、10周を過ぎた辺りで早くも10番手まで進出してきた。彼のペースから判断したのか、その後は上位陣が続々とタイヤ交換を行い、15周目にロイックは、トップに立ち、なおもベストラップを更新し続けながらトップを快走した。 ただし、好事魔多し。レインタイヤを装着するマシンとのスピード差が激しく、15周目の1コーナーで先行するマシンに後方から接触してしまい、これが原因で10秒間のペナルティストップを科せられてしまった。 20周目にペナルティストップを消化したロイックは、独走で築いていたマージンが効き、そのままトップでピットアウトしていくが、2位以下に対するリードは約10秒に減ってしまった。それでもその後は、追い上げてきたマシンと一進一退のバトルを展開。 ラスト20周となったところでルーティンのピットインとなった。 ところが、その前後から雨足が強くなっていたこともあって、チームではレインタイヤを選んでロイックをレースに送り出す。 2番手で戦列に復帰したロイックだが、今度は作戦が裏目に出てしまう。雨足が弱まり、再びスリック有利なコンディションとなったのだ。ロイックはドライタイヤを履いたマシンに攻め続けられたが、何とか6位でチェッカー。2戦連続入賞を果たすことになった。 一方、グリッド中団からのスタートだった武藤は、レインタイヤでスタートした。路面が乾いていく中、ポイント圏内前後で力走していた武藤も、ルーティンピットでドライタイヤに交換していたが、雨足が強くなった時にウェットタイヤに交換、これが禍してしまう。 残念ながら、2戦連続のポイントゲットはならなかったが、それでも粘り強く走り続けた武藤は8位完走を果たした。 |
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■PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント |
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※ 次戦は、7月7日〜9日鈴鹿サーキットで開催されます。 | |||