シリーズ名:2005年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN) |
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チームの戦略がズバリ正解。キッチリ走ったロッテラーが、今季初優勝
不運なアクシデントに見舞われながらも粘り強く走った小暮は11位完走 |
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31 Lotterer |
予選 3位 決勝1位 |
32 小暮 卓史 | 予選14位 決勝11位 |
予選3位から絶妙なスタートダッシュを見せたロッテラー選手。ノーピット作戦で300kmを走り抜け今季初優勝! | |||
小暮選手は追突されリアウイングを破損。予想外のピットインを強いられる。 |
ロッテラー選手は 第7戦で快心の優勝を飾ることが出来た。
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夏休み最後の週末となった8月26〜28日、富士スピードウェイでは国内モータースポーツトップカテゴリー、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)のシリーズ第7戦が行われた。 台風11号が前日の夕刻にはこの地方を直撃。走行を危ぶむ声も聞かれたが、金曜日(26日)の公式合同テストは台風一過、青空が拡がり、まるで真夏に逆戻りしたかのような好天の下、このサーキットでは今シーズン最後となるトップフォーミュラのハイスピードバトルの幕が切って落とされた。来シーズンからはマシンが一新されることが発表されたが、週末を通じて3万人を越えるファンが詰めかけ、現行マシンでの富士ラストランを楽しんだ。 6月にシリーズ第4戦として、すでに1回開催されているが、この時は予選においても1秒弱のタイム差の中に15台がひしめき合う混戦ぶりだったし、決勝では豪雨で2パート制になるなど、65周レースを戦う上での"正解"を、何処のチームでも探っているところ。 土曜日の公式予選は、台風一過の好天下で行われた。ロッテラー選手は最後の最後で1分29秒647まで詰めることに成功。2列目/3番手グリッドを得ることになった。 一方、小暮選手の方は、なかなか好いセットが見つけだせず14番手と低迷してしまう。ただし、タイム的にはロッテラー選手からコンマ7秒遅れ。この富士は、他のサーキットに比べるとパッシングも容易で、決勝セットを見直すことによって上位進出も充分に期待出来るはずだ。 土曜日までに比べると雲は拡がったものの、決勝が行われた日曜日も、やはり暑い一日となった。 朝一番のフリー走行でマシンのフィーリングをチェックした両選手は、マシンの仕上がりにまずまずの手応えを掴んだようで、午後の決勝に向けて期待が高まっていく。 決勝レースは予定より僅かに早く、午後2時29分に正式スタートが切られた。 2番手スタートの本山哲選手がエンジンストール。ポールシッターのリチャード・ライアン選手も出遅れるハプニングの中、3番手スタートのロッテラー選手は絶妙のスタートダッシュを見せて楽々トップを奪う。 一方、後方グリッドからスタートした小暮選手も、前方での混乱をすり抜けるようにして1コーナーに向かっていった。 今回、我がチームのシナリオはノーピット。つまりガソリン給油もタイヤ交換も行わずに65周=約300kmを走りきる作戦だ。そのために、タイヤを酷使することなく、また燃料もセーブして走る必要があった。だからトップに立ったロッテラー選手も、後方からスタートしていった小暮選手も、闇雲にペースアップせず、また無用なバトルも控えながら、周回を重ねていくことになっていた。 トップを快調に走っていたロッテラー選手が、スタートで出遅れたライアン選手が後方まで進出してきた時に、敢えて抵抗することなく彼を先行させたのも、そんな理由からだった。ペースから考えると、どうやら彼のチームでは通常の1ピット作戦のようだが、果たして、どちらが正解となるのか…。ピットではデータを分析しながら状況を見守っていた。 一方、後方の集団内でタフなバトルの渦中に身を置くことになった小暮選手も、安定したペースで周回。 8周目までにはポジションも2つアップ、作戦は着実に行われていた。 そんな状況に変化が見えたのは15周を過ぎた辺り。後方のマシンに軽く追突される格好で小暮選手のマシンはリアウィングを破損。さらに不運だったのは、壊れたパーツがタイヤにダメージを与えてしまい右リヤタイヤがスローパンクチャーを起こしてしまったのだ。 左フロントタイヤが浮き気味になる不安定な状況で、なんとかこれをコントロールしながら小暮選手は予定外のピットイン。 パンクした右リヤタイヤのみを交換し、脱兎のごとくピットを後にしたが、ここで大きくタイムロス。さらに、交換しなかった3本のタイヤが、予想以上に酷使されていたからこれ以降、小暮選手は我慢の走行を強いられることになる。 一方、ライアン選手にパスされた後も、予定通りのペースで安定して周回を重ねていたロッテラー選手は、41周目、ライアン選手がルーティンのピットインを行ったことで、これまた予想通りにトップに返り咲く。 一時は、彼の直後でスキを窺っていた片岡達也選手も、さらに後方からプッシュしてくる井出有治選手や山本選手への防戦を強いられ、じわじわとロッテラー選手のリードが拡がっていった。後方から猛チャージを掛けてくるライアン選手は、1台また1台と前走車を パスしてポジションを上げてくるが、やはりチームの読み通り、ノーピット作戦は大正解。 片岡選手と井出選手、我がチームと同様にノーピット作戦で65周レースを走り抜いた2人を数秒後に従えてロッテラー選手がトップチェッカー。 今シーズン、何度となくトップを快走しながらも、不運なトラブルに見舞われて、ここまでノーポイントに終わっていただけに、彼自身はもちろんのこと、担当するメカニックも大喜びでゴールラインを横切る彼を迎え入れることになった。 そのロッテラー選手からは周回遅れとなってしまったものの、不運なアクシデントに見舞われた小暮選手も、痛んだタイヤで不安定なハンドリングとなったマシンを懸命にコントロール。 渾身のドライビングでノーミス走行を続け、何とか11位でチェッカーまでこぎ着けた。 |
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■PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント |
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※ 次戦は、10月21日〜23日 栃木県ツインリンクもてぎで開催されます。 | |||