シリーズ名:2005年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)
大会名:第4戦・富士スピードウェイ
距離:4.563km×30周+32周(当初は65周レースだったが、降雨により赤旗中断→2パートレースに)

第7回公式合同テスト:6月3日 曇り ・観衆: − 人( 未発表 )
予選 :6月4日 曇り ・観衆:1万1100人(主催者発表)
決勝 :6月5日 曇りのち雨→曇り・観衆:2万4700人(  同  )

ドライよりのセッティングで雨の中、粘り強く走った小暮が8位完走
第2パートの前半を席巻したロッテラーは、トラブルで惜しくもリタイア

31 Lotterer

予選 13位 決勝リタイア

32 小暮 卓史 予選 7位 決勝8位
第3戦菅生に引き続き、またも天候不安定な決勝日。
降水確率50%の予報だがスタート前はドライ。
オープニングラップで接触した小暮選手は1周目でピットインしタイヤ、フロントウイングを交換し戦列に復帰した。

豪雨で赤旗中断後、第2パートは実質ポールスタートなったロッテラー選手。

12週目までトップを快走するが、エンジントラブルでリタイア。
 今回の舞台となった富士スピードウェイは、1年半にも及ぶ大幅な改修工事を終え、先頃リニューアルオープンしたばかり。コース前半部分の"超"高速レイアウトは、ほぼそのままだが、後半部分は中低速のコーナーが連続するテクニカルなセクションに様変わりしている。
4月下旬に行われた合同テストに加え、多くのチームではGTでも事前合同テストとレースを経験しているものの、データが不足しているのは共通な条件で、総てのチームにとって、如何に早く、マシンをセットアップするか、も今回の大きな課題となっていた。
土曜日(4日)の公式予選では、午後のセッションで小暮選手はトップから0.4秒差、ロッテラー選手も0.6秒差。ただし、各車のタイムが接近しており、ポジション的に小暮選手が7番手、ロッテラー選手は13番手と、下位のグリッドからのスタートとなった。それでも、マシンのフィーリングは悪くなかったから、決勝では2人の猛追が期待された。
土曜日夜には国内の各地で雷雨のニュースが聞かれたが、富士スピードウェイの周辺では小雨が路面を濡らした程度で、日曜の朝までには完全なドライコンディションを取り戻していた。ただし予報では午後の降水確率が50%、スタート30分後の午後3時には降り始めると、予想されていたから、決勝に向けてのセットアップ、そしてレース中の作戦をどうするのか、エンジニアは頭を悩ませることになる。
そして出された決断がノーピット。燃料的にも、またタイヤ的にも、何とか65周レースは走りきれる。それが、この作戦を執ることになった最大の理由。雨に関しては、準備万
端でレースに臨み、降り始めのタイミングやレース展開によって臨機応変に対処する作戦だ。
上位陣でスタートダッシュをミスしたドライバーもあり、スタート直後からハプニングが連続する。
まずまずの好ダッシュを見せた小暮選手は、松田次生、山本左近の両選手に挟まれる格好で1コーナーにアプローチしていくが、3台が絡む格好となり山本選手のマシンが小暮選手のマシンに接触しながら飛び越えんばかりの、一瞬ヒヤリとするシーンがあり、小暮選手は1周を終えて緊急ピットイン。痛めたタイヤとフロントウイングを交換し、脱兎のようにピットを後にしたが、これで最後尾までポジションダウン。トップからは1分以上もの遅れとなってしまう。
一方のロッテラー選手は、そんな前方でのハプニングを上手く切り抜けて9番手でオープニングラップ終えている。
2周目以降はロッテラー選手は8番手前後で健闘し、最後尾まで後退した小暮選手はトップグループと同等以上のハイペースでプッシュし続け、1分10秒ほどあった大差を10秒近く削り取る奮闘を見せた。
そんなレースが大きく動いたのはスタートから20周を過ぎた頃。予想どおり、3時を過ぎた辺りで1コーナーのエリアから、雨がポツポツと落ち始めたのだ。最初は、少しペースを落としただけで周回を重ねた各車だったが、雨足は急激に強くなる。そしてコース全域がレインコンディションになるまで僅か2〜3ラップで、各車次々にピットイン。レインタイヤに交換してピットアウトしていくが、雨足は酷くなる一方。
雨を得意とするロッテラー選手は、この間に一気にポジションアップ。全車がピットインしてレインタイヤに交換し終えた時点で、何と3番手まで進出。
31周目にはトップ片岡選手と2番手の土屋武士選手が揃ってコースアウト。これでトップに立ったロッテラー選手が32周目に入った直後に赤旗が提示され、レースは一時中断。コンディションが良くなるのを待って2パート制のレースとして戦われることとなる。
トップ2がコース上でストップしていたこともあり、ロッテラー選手は第1パートとは一転、事実上のポールポジションから第2パートをスタートすることになった。
一方、小暮選手は無線機の故障からピットインのタイミングを誤り、1周余計にドライタイヤで走ったが、何とか12番手で走行しており、そのポジションから第2パートをスタートする。トップにラップ遅れにはなっていなかったから、事実上、第2パートの結果が、そのまま総合結果となる。後方グリッドながら、約1分の遅れは帳消しとなったのだ。
 雨足が急だった分、止むのも早く、1時間余りの中断の後、第2パートがスタートする頃には、薄日も射そうかというコンディションとなっていた。
第2パートは第1パートよりも若干長い32周。コンディションが良くなるのは疑う余地がなかったが、どのくらいで乾き始めるか? 前回、菅生ラウンドでの反省もあり、チー ムは再び頭を悩ませることになる。そして出された結論が、ロッテラー選手はレインコンディションにシフトしたセットで、一方の小暮選手は、よりドライコンディションにシフトしたセットで臨むことになった。
スタートが切られた後も、各マシンはセーフティカーに先導されてセーフティカーラップを5周し、32周レースも6周目となったところでリスタートが切られた。
事実上のポールポジションから好ダッシュを見せたロッテラー選手は、大好きなレインコンディションの中、まさに水を得た魚のごとく快調にラップを重ねながら逃げていく。
リスタートが切られた6周目のダンロップコーナーで、2番手に付けていた本山哲選手がスピンで後退したこともあり、これで勝負あった、かに思われた。
しかしトップで12周目を走り終えたロッテラー選手のマシンに、エンジントラブルが発生し13周目に突然スローダウン。何とか14周目まで走りきったものの、ピットインしてそのままリタイアとなってしまう。
 一方、12番手からスタートした小暮選手は、レース中盤にはポイント圏内まであと一歩となる7番手まで進出する。だが、再び雲が空を覆い日射しが失われた結果、コースコンディションは期待したほどには変わらず、また終盤には再び一部で雨が降り始める不運。それでも、小暮選手は最後の最後までノーミスのドライビングを続け、8位完走を果たした

■PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント
巡ってきたチャンスをモノにできない、悔しいレースとなってしまいました。
ロッテラー選手は、不運なトラブルに見舞われるレースが続いていましたが、また今回も…。
一方の小暮選手にも、2戦続けて可哀想なことをしました。天候の読みが外れて厳しいレースとなってしまいましたが、ドライバーとしては2人とも、良い仕事をしてくれたと思います。
予選での速さも、ライバルに比べて僅かな差になってきましたし、レースラップでの速さは、互角以上のものがあったと実感しています。
次回の鈴鹿で、必ず挽回します。皆様方には引き続き、我がPIAA NAKAJIMA RACINGに、ご声援をよろしくお願いします。

※ 次戦は、7月1日〜3日三重県鈴鹿サーキットで開催されます。



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