シリーズ名:2009 オートバックス SUPER GT(S-GT)
大会名:第4戦・スーパーGTインターナショナルシリーズ・マレーシア
距離:5.542km×54周
予選:6月20日 晴れ時々曇り一時雨・観衆:   8900人(主催者発表)
決勝:6月21日 晴れ時々曇り一時雨・観衆:3万0586人(  同  )


入賞圏内を走行するもファイナルラップでプッシュアウト

32 EPSON NSX  予選13位 決勝11位

1日1回は激しいスコールに見舞われるが、やんだ後はあっという間に乾いてドライコンディションとなる。 今回の予選もスーパーラップ進出の8位以内に入れず。。
土曜日の公式練習のみで、全てに挑んだ中山選手。今回はスタートも担当した。 その中山選手は10位にポジションアップし、後半ロイック選手に託す。

日本列島が梅雨に見舞われる頃、スーパーGTは国内を飛び出して、赤道直下、マレーシア・セパンで第4戦を開催した。
今シーズンのスーパーGTは、金曜日の公式練習が廃止され、土曜日に公式練習と公式予選、そして日曜日に決勝レースを行う2デー開催にシェイプアップされている。年に1度開催されるのみで、事前の公式合同テストも実施されていない、このセパン・サーキットが舞台の今回も、通常通りの2デー開催。チームにとってはマシンのセットアップのための、そしてドライバーにとっては走り込みのための、時間不足は否定出来ない。

もちろんこれは各チームに共通の課題でもあったが、ルーキードライバーを抜擢したチームには、課題の“難易度”を、さらに引き上げる効果があったのも、また間違いない事実だった。
 金曜日の夕方、チームスタッフの脚となっているレンタカーで、コースを“下見”する時間帯が設けられており、スーパーGTやA1GPで何度もここを走っているロイックは昨年11月のA1GP以来半年ぶりのセパンを復習し、一方、ルーキーの中山は、初めて訪れたセパンを予習して、いよいよ本番となる土曜日の公式練習を迎えることになった。
 このセッションは、開始から間をおかずにスコールに見舞われてしまう。セッションスタートと同時にドライタイヤでピットアウトしていったロイックが計測1周目にマークした2分04秒677が、結果的に全チームを通じて唯一、ドライタイヤで記録されたタイムとなり、当然のようにこのセッションでのトップタイム。
 しかし、スコールがやみ、ドライコンディションとなった午後の公式予選では、タイヤを含めたマシンのパフォーマンスは、ライバルのそれに大きく後れを取っており、名手のロイックをしても、トップには1.6秒差もの大差で、スーパーラップ進出は遙か先の13番手に低迷してしまった。
 決勝日となった日曜日も、早朝と、ウォームアップ走行終了直後に行われたサーキットサファリの時間帯でスコールに見舞われてしまった。それでもウォームアップそのものはドライコンディションで行われたが、パフォーマンス的に厳しいことには代わりなかった。決勝レースのスタート進行が始まる頃から、雲は厚さを増してきており、何時スコールが来てもおかしくないようにも思われたが、スタートが近づくにつれて晴れ間も顔を覗かせるようになる。それでも時折、パラパラと雨粒が落ちてくるなど、天候の予測は不可能!
 今回はルーキーの中山がスタートを担当した。上位陣に食らいつきながら我慢の走行を続けながら早めにルーティンのピットインを行い、ロイックが担当するスティントを長くとって勝負に出る作戦だった。その中山は、カート時代以来となる久々のローリングスタートを無難にこなし、ポジションキープのままオープニングラップを終えることになった。
 だが、6周目には後続のマシンにパスされてしまう。GT300クラスのマシンをラップダウンする際にも戸惑いがあったか、ラップタイムも安定していなかった。それでも周回を重ねる度に、中山は少しずつ速さを取り戻していくことになる。そして18周目の2コーナーでは、一度先を越されたマシンを再度抜き返し入賞圏内の10位に進出し、大器の片鱗を見せることになる。
 24周を終えたところで中山はピットイン。これはほぼ予定通りだったが、予定外だったのはタイヤの消耗。高い路面温度の影響か、中山が装着していたソフトなコンパウンドのタイヤは消耗が酷くなっており、残り周回数を考えたチームではロイックのスティントではよりハードなコンパウンドのものを装着させることになったのだ。ナットのトラブルから少し無用なタイムロスがあったものの、チームは、それ以外はほぼ万全の仕事ぶりでルーティンワークをこなし、代わってロイックが乗り込んだマシンをレースへと送り出す。
 12番手でレースに復帰したロイックは、モチベーションを奮い立たせて好走を続ける。途中1台のマシンが後退し、自動的に11位にポジションアップした後も、前を行くマシンにじわじわと詰め寄っていった。そしてラストラップ。テールtoノーズでコントロールラインを抜けていったロイックは、1コーナーで前を行くマシンのインにノーズを差し込むと、見事にこれをパッシング。待望の入賞圏内に駒を進めることになった。だが、それも束の間、続く2コーナーで後続のマシンにプッシュされてスピン。左リアタイヤはバーストしてしまったが、それでもロイックは、ファイナルラップの残り5kmほどを懸命に周回。トップと同周回の11位でチェッカーを受けた。
 結果的に相手にペナルティが課せられたが、順位が元に戻ることはなかった。パフォーマンスで後れを取った今回のレースだが、ドライバーも含めてチーム全員が一丸となっての完走。そしてロイックが見せた、速く走ることに対するモチベーションと勝負への拘り。こうしたピースが総て組合わさった時、自ずから結果はついてくる。次回への期待は高まっている。

●EPSON NAKAJIMA RACING総監督 中嶋悟のコメント
非常に厳しいレースになってしまいました。マシンのパフォーマンスで他のチームに後れを取っていたのは事実で、チームとしては、これを何とかしないといけないですね。ロイックも、少しモチベーションが下がりかけた時もあったし、中山も今回はGT300のマシンを抜く時に手間取ってラップタイムが安定しないところがあった。
これで4戦を終え、次回の菅生からはいよいよ後半戦。悪い流れを断ち切って、好いレースが展開出来るよう、チーム一丸となって頑張っていきます。

※次戦は、7月25日〜26日、宮城県スポーツランド菅生で開催されます。