沖縄県が真っ先に梅雨明け宣言を行った週末、富士スピードウェイでは全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)第4戦が行われた。快晴で始まったレースウィーク、土曜日はフリー走行からNAKAJIMA RACINGの2台が好調ぶりを発揮。小暮卓史が唯一の1分26秒台をマークし堂々のトップタイム、ロイック・デュバルも2位タイムをマークし、初日から他チームとの差を見せつけた。
気温32℃、路面温度45℃と、梅雨時期とは思えないコンディションで始まった予選セッション。
Q1、Q2と僅かに小暮に後れを取り2位に甘んじていたロイックだったが、Q3でスペシャルアタックを見せて暫定トップに。ロイックの後にアタックに入った小暮は1回目のアタックでまさかのスピン。続けて2回目のアタックを試みたがロイックを上回ることはできず、これでロイックのポールポジションが決定した。
FN4年目のシーズンとなり、デビューウィンから数えてすでに4勝を挙げているロイックだったが、意外にもポールポジションはこれが初めて。小暮は6番手にとどまったものの、2台ともに他を上回る戦闘力を持っているのは明らかで、チーム3連勝の期待が高まった。
日曜日はそれまでと一転、朝から曇天の空が続いた。FN決勝前のF3決勝スタートとともにとうとう雨が降り出し、一瞬でコースはウェットコンディションとなる。雨はだんだんと強さを増し、FNはセーフティカースタートでレースがスタートすることとなった。
3周のセーフティカーランを終えて、4周目にリスタートが切られた。先頭を走るロイックは、序盤からリードを拡げていく。他のマシンが1分42〜43秒台での走行を続けるのに対し、ロイックはひとり41秒台を連発。レースの折り返し地点となる27周を終えたころには、20秒以上の大差をつけていた。
このままロイックの独走でレースが終わるかと思いきや、32周目に下位を走るマシンがスピンを喫し、コース上にストップ。セーフティカーが投入されることになった。チームはすぐさまピットインの指示。ロイックはタイヤ交換なしの給油のみで、9.4秒のピットストップを終えて2位でコースに復帰した。
中団で視界の悪い中を走っていた小暮も同ラップにピットイン。こちらも給油のみで8位でコースに復帰。ストップしたマシンの回収は終了し、セーフティカーが、周回遅れのマシンを後続につかせるため、先行させた。本来であればこのままリスタートが切られるはずだった。が、オフィシャルの判断ミスなのか、その時点でトップを走っていた同一周回のマシンまで先行させてしまうというハプニングが発生。
順位が崩れてしまうため、ロイック以下全車両がセーフティカーの前に出され、隊列を組みなおすことになった。同一周回のトップを走っていたマシンは、この時ピットインし給油。コースに戻った時は、最後尾復帰となる。
そのため、リスタートがきられた時点ではロイックが再びトップ、小暮も7位にポジションを上げてスタートした。20秒以上の大量マージンをセーフティカー投入によって一気に削られてしまったロイックだったが、リスタート後もハイペースを保って周回を重ねる。
マシンの好調さに加え、水しぶきで視界が遮られることもないというアドバンテージもあり、45周目には唯一の1分40秒台をマークしてファステストラップも記録。最終的に後続に40秒もの大差をつけて、ロイックは今季2勝目、自身初のポールtoウィンを飾った。
シリーズチャンピオン争いにおいても、ポイントリーダーのブノワ・トレルイエ選手がリタイアとなったため、フルポイントをマークしたロイックは僅か1ポイント差まで追い上げた。2回目のリスタートを7位でスタートした小暮も粘りの走行で7位入賞、2ポイントを獲得した。6位スタートということもあり、ロイックに比べても少し攻め気味のセッティングでレースをスタートした小暮は、激しさを増す雨にペースを上げていくことができなかったが、マシンの戦闘力の高さを再確認、次戦・鈴鹿での巻き返しを誓った。
ロイックの優勝と小暮の2ポイントでチームランキングもトップに浮上。シーズンも前半戦を終え、タイトルへの道が見えてきた。 |