事前テストもできないまま、急遽開幕戦でNAKAJIMA HONDAが走らせるPIAA
DALLARA 無限のステアリングを握ることとなった#64本庄康幸選手(25歳)。
気まぐれな雨に見舞われた難しいコンディションを見事乗り切り6位入賞を果
たし、幸先の良いスタートを切ったわけだが、シリーズ第2戦の舞台となる筑波は、シビックレースなどで走行経験はあるものの、フォーミュラでの走行は初体験となるサーキット。
限られた走行時間の中で、タイトなテクニカルコースとして知られる筑波サーキットをいかに攻略し、マシンセッティングをいかに煮詰めて行くかが勝負の鍵となる。
シリーズ全10戦中、唯一F3がメインイベントとなる筑波でのレースということもって、通
常とは異なり木曜日から練習走行が開始され、チームと#64本庄選手は順調にプログラムを消化。
金曜午後の走行では、上位陣の一角を占めるタイムをマークするまでになった。
土曜日朝の公式練習セッションでも好調を維持した#64本庄選手は52秒638をマーク。
#11井出有治選手(ダラーラF399・無限)、#10セバスチャン・フィリップ選手(ダラーラF300・無限)、#2荒聖治選手(ダラーラF300・無限)に次ぐ4位
に食い込み、続く午後の予選に向け期待はふくらんだ。
しかし、好事魔多し。1周2kmちょっとの筑波サーキットでは予選で完全なクリアラップを奪うのは至難の技となる。午後1時40分からの予選セッション開始からしばらくはコース状況を静観し、#64本庄選手がコースインしたのは10分ほど経過してから。
ニュータイヤを温め、とりあえず5周目に52秒638をマークし、タイミングモニターの上位
に名を連ねる。セッション半ばからコース上を走行するマシンが増え、それ以降なかなかクリアラップに恵まれなかった#64本庄選手だが、いったんピットインしてマシン左側にニュータイヤ2本を投入し、さらなるタイムアップを狙って残り10分で再びコースへ。
満を持してタイムアタックを開始した#64本庄選手だが、今度は他車のスピンによってセッションが赤旗中断となってしまう。
残り4分となった再開後も、果敢にタイムアタックを敢行した#64本庄選手は、最終ラップにそれまでのベストタイムを0.2秒ほど上まわるペースで最終コーナーまで差しかかったものの、最終セクションでスピンしたマシンがあり、そこには黄旗区間が。
やむなくアクセルを緩めた#64本庄選手は、残念ながらタイム更新はならず、ベストは52秒638のまま。結果
的に予選順位は11番手となってしまった。
コースコンディションとマシンのマッチングが今ひとつであったことも災いし、#64本庄選手にとってはアンラッキーなセッションとなったわけだが、抜きどころが少なく、例年予選順位
がリザルトに大きく影響している筑波ということで、翌日の決勝に向け、この予選ポジションは大きな問題としてチームと#64本庄選手の前に横たわった。
予選上位はポールポジションに#10井出選手、2位に#11フィリップ選手、3位
に#2荒選手、4位に#9土屋武士選手(ダラーラF399・日産)、5位に#7黒澤治樹選手(ダラーラF300・トヨタ)、6位
に#38五味康隆選手(ダラーラF300・トヨタ)となった。
翌日の決勝を前に、チームは若干セッティングを変更。
ややピーキーだったマシンをより乗りやすい方向にセッティングを施した。これが奏功し、#64本庄選手はフリー走行で52秒111という2番手タイムを叩き出し、午後の決勝に向け照準を合わせた。
午後1時45分から開始された45周の決勝だったが、#64本庄選手はスタートでクラッチミートに失敗、ストールしかけてしまい、一気に後方集団に飲み込まれてしまう。
さらに第1ヘアピンでは目の前で2台のマシンが接触、それを避けるためにダートにはみ出さざるを得なかったため、最後尾にポジションを落とす。
万事休すかと思われたが、コース上にストップしたマシンがあり、赤旗再スタートで事無きを得た#64本庄選手。さらには再スタート前のグリッド上で、目の前のグリッドにつけていた#1ロバート・レヒナー選手(ダラーラF300・トヨタ)がミッショントラブルでリタイアし、前日とは打って変わったラッキーな状況に恵まれた。
午後2時15分に迎えた再スタート。今度は好スタートを決めた#64本庄選手は、1周目を終えて7番手。しかし、スタート直後の1コーナーで起こったアクシデントのためにコース上にスタックした#9土屋選手のマシンを排除するため、3周にわたってセーフティーカーが導入される。
5周目、セーフティーカーがコースを離れ、レースは再びスタート。
コンマ数秒差で先行する#17佐々木孝太選手(ダラーラF399・無限)を追走、6位
争いを展開する#64本庄選手だが、やはり抜きどころのない筑波のコースではオーバーテイクポイントを見つけるのは難しく、後半勝負とタイヤを温存する走りに徹しつつ#17佐々木選手にプレッシャーをかけ続けるも、なかなかチャンスは生まれない。
テールtoノーズの状況の中、残り周回も少なくなってきた38周目、終盤エンジンのバラつきを感じていた#64本庄選手は、そのために最終コーナーでバランスを崩し、ホームストレート上で360度スピンを演じてしまう。
ウォールとの接触もなく走行を続けたものの、#5高木真一選手(ダラーラF399・トヨタ)にかわされ、8番手にドロップ。
必死でポジションを挽回するべく追い上げた#64本庄選手だったが、残り周回も少なくこのままチェッカー。8位
完走となった。
レースは#11井出選手が優勝。2位に#2荒選手、3位に#10フィリップ選手、4位
に#7黒澤選手、5位に#32富澤勝選手(ダラーラF399・トヨタ)、6位に#17佐々木選手となった。
今回のレースは、これまであまり走行経験がなく、抜きどころのない筑波サーキットという難しい状況下での#64本庄選手とチームのポテンシャルが試される形となったわけだが、練習走行やフリー走行でのパフォーマンス、タイムを見れば、#64本庄選手がトップに劣らない仕上がりだったことは明らか。
さらには難しい状況となった決勝でのベストラップとなった53秒181は、表彰台に立った3選手に次ぐ4番目の好タイムであったことからも、十分課題はクリアされていたと見ていいはずだ。5月に行われる第3戦富士では、#64本庄選手には再び入賞、そして表彰台での活躍が期待される。 |