シリーズ名:2007年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)
大会名:第7戦・スポーツランド菅生
距離:3.704km×62周
予選:9月15日 晴れ・観衆: 6,800人(主催者発表)
決勝:9月16日 晴れ・観衆:16,500人(  同  )

ポールtoウィンの完勝で、小暮が今季2勝目をマーク
ロイックも3位につけ、久々のダブル表彰台を達成


31 Loic DUVAL

予選2位 決勝3位

32 小暮卓史 予選1位 決勝1位
金曜日フリー走行から絶好調だった中嶋レーシング。
予選結果は1-2でフロントローを独占。
フリー走行から、小暮選手とロイック選手の激しいトップ争いが続いた。

スタート直後の1コーナー進入。ロイックはブノワに先行され3位に。レース終了までこの1-2-3ポジションは変わらなかった。

小暮選手は見事なポールtoウイン!得意な菅生を制した。

スポーツランド菅生を舞台に戦われた第7戦は、スタート直後からアクシデントが多発、セーフティカー(SC)が一度ならずも導入される、荒れた展開となったが、ポールポジションから好ダッシュを見せた小暮が、一度もトップの座を譲ることなく完勝。同じくフロントローからスタートした僚友のロイックも、スタート直後の伸びを欠いて1コーナーまでに、後続の1台に先行を許したものの、3位には踏み止まり、その後は完璧な走りで猛追。再逆転はならなかったものの、3位入賞で久々のダブル表彰台を達成した。
今年の夏は記録的な猛暑が続き、9月に入っても残暑が猛威を奮う日が続いた。この週末も3日間を通じて好天が続き、各走行セッションはホット&ドライなコンディションとなり、迫真バトルが連続。詰めかけた熱心なファンは、夏の名残とともにハイスピードバトルを堪能することとなった。
走り始めとなった金曜日(9月14日)の合同テストから、PIAA NAKAJIMA RACINGの2人のドライバー、ロイック・デュバルと小暮卓史は絶好調。各セッションでは互いにベストラップを更新し合いながらタイムアップしていったが結局、この日は1分08秒175まで詰めたロイックがトップ。08秒239と僅差で続いた小暮が2番手で1-2を独占した。3番手以降は08秒台後半に留まっており、2人の速さは抜きん出る格好。
ただし、好事魔多し。午後のセッションでロイックに次ぐ好タイムをマーク、さらにタイムアップを目指した小暮が、ラストラップの最終コーナーでクラッシュしてしまったのだ。幸い小暮自身に大事はなかったが、マシンは大破。メカニックが総出で深夜までリペア作業に駆り出されることとなった。
公式予選日が行われた土曜日(9月15日)も好天に恵まれた。早朝こそ、菅生特有の霧に見舞われたが、最初のセッションが始まる頃までには青空が拡がってくる。

前日、午後のセッションでクラッシュした小暮のマシンは、メカニックの懸命な作業により無事リペアされていたが、マシンチェックも兼ねてセッション開始から積極的に走行するものと思われていた。
だがマシン(とそれをリペアしたスタッフ)に全幅の信頼を置いているのか、小暮はいつも通りロイックとともにセッション序盤をピットで待機。終盤の15分間のみで見事なアタックを披露した。セッションも残り20分を切ったところでマシンに乗り込んだ2人は、小暮、ロイックの順にピットアウトしていく。この時点でのトップタイムは1分09秒219だったが、小暮は、最初のアタックで一気に08秒053をマーク、そのままピットに戻ってマシンを降りると、彼自身が持っていたコースレコードを1.2秒以上も更新するスーパーラップで暫定ポールを決めることになる。一方のロイックも1分08秒433でこの時点で2番手。もう1アタックしたがタイム更新ならず、ピットに戻り1回目のセッションを終えると、終盤のアタックで2人のドライバーが08秒台前半をマーク、ロイックは4番手まで後退したが、午後に逆転を期した。
午後のセッションではともに、午前中に使用したユーズドタイヤでピットアウト。先ずはセッション開始早々にアタックしたロイックが、1分09秒028をマーク。一方、セッション開始から10分ほど経過してからアタックに出ていった小暮は、いきなり1分08秒295をマーク。2番手以降にコンマ5秒の大差でトップに立った。フレッシュタイヤに交換して再度アタックに出ていったロイックは1分08秒079まで詰めてトップの座を奪い返す。セッションも残り20分を切ったところで、ロイックと小暮は、ともにフレッシュタイヤに交換してアタック。小暮は1分07秒827と、遂に08秒を切るスーパーラップでロイックを逆転、トップの座を再度奪い返した。その後、最終コーナーでクラッシュするマシンがありセッションは赤旗で一時中断。午後3時56分に、残り11分間で再開されると、多くのマシンが挙ってラストアタックに出ていく。ここで大きくタイムを詰めたのがロイック。それまでの自己ベストをコンマ1秒以上更新し、07秒台に入れたのだ。一方小暮は、遅いマシンに引っ掛かったこともあり、ベストタイムを更新することは出来なかったが、中盤のアタックで彼が叩き出した1分07秒827を更新するドライバーは表れず、今季2度目のポールポジションが確定した。

チームメイトには一歩及ばなかったものの、同じく08秒を切って1分07秒957まで詰めたロイックが2番手で、僚友2人がフロントローを独占することとなった。
決勝日となった日曜日(9月16日)も、引き続き好天に恵まれた。朝一番で行われたフリー走行ではいつものように、ピットアウト直後にピットインのシミュレーションを行ったが、小暮は通常のタイヤ4本交換+ガソリン補給、ロイックはタイヤ交換4本のみ、の内容だった。

それは今回、レース距離が約230kmと短い上に最初に搭載する燃料の量も自由だから、ノーピットの作戦も可能。その一方で、路面温度が上昇することも予想され、タイヤ交換をした方が平均ラップは速くなるし、スタート時の燃料搭載量を少なくして前半に逃げる作戦もある。

藤井一三チームディレクターも「決勝で、どんな作戦となっても対応できるよう(ピットインのシミュレーションは)別メニューで行いました。もちろん、何もしない(=ノーピットの)作戦も考えられますね」と取材陣を煙に巻いていた。ちなみに、セッション開始早々に珍しくスピンアウト、後半を棒に振ったロイックは19番手に沈んでしまったが、ポールスタートの小暮は3番手につけている。いずれにしてもマシンのフィーリングは上々で決勝に期待が高まっていった。
 午後に行われた決勝レース。夏の名残を窺わせるように強い日射しが照り照りつけた結果、スタート直前に路面温度は45℃まで上昇。タイヤ交換はあるのか? はたまたガソリンは? とスタート前から各チームの作戦が注目されていた。フロントローに並んだ小暮とロイックは、スタートで明暗を分けることになる。ポールから、まずまずのダッシュを見せた小暮は、そのままトップをキープして先を急いだ。一方、スタートダッシュ自体は、むしろ小暮よりも速かった感のあるロイックは、直後の加速でスピードの伸びを欠いてしまい、後続に呑み込まれるように1コーナーにアプローチ。直後のグリッド、4番手スタートのブノワ・トレルイエ選手の先行を許してしまい、3番手スタートの本山哲選手にも並ばれてしまったが、これは何とか踏み止まり、3番手は死守したまま2コーナーを立ち上がっていった。
 上位集団はまだテールtoノーズながら一列縦隊での走行に落ち着いたが、中団グループでは2ワイド、3ワイドのバトルロイヤル状態からアクシデントが発生。オープニングラップから早くもSCカーが導入され、レースは荒れた展開の様相を見せ始めた。SCカーに続く隊列のトップに小暮がつけ、トレルイエ選手を挟んでロイックが続く上位陣を先頭に、各車一列縦隊で、SCラップを続けていたが、アクシデントの処理も終わった5周終了時点でレースは再開されることになる。このリスタートでも、危なげなくトップを守った小暮は、いきなり1分11秒台のペースで先を急ぐ。それに呼応するようにトレルイエ選手もロイックもペースアップ。3人は交替でベストラップを塗りかえながら、後続との差を拡げていった。一時は、ロイックとの差を詰めに掛かった本山選手も、その後はペースが12秒台前半に落ち着き、トップ3からはじわじわと後れていった。この状況は、レース中盤になっても変わらず、1分11秒台の中盤から前半で先を急ぐトップ3と、12秒台前半でラップを重ねる4番手以降との差は着実に拡がっていき、20周を終えたところでは約10秒の大きなギャップが築かれていた。

トップ3が一進一退の攻防を続けながら後続を引き離し、3番手のロイックと4位以下との差が25秒を超え、レースも終盤に入った50周目、馬の背コーナーを走っていた中団グループでアクシデントが発生した。再度SCが導入されることになるが、トップ3にとっては、緊迫したバトルは一時休戦。ただし、大きく引き離した4位以下のグループが再び背後に迫ってくるから、リスタート後は10周ほどの超スプリントとなる。
馬の背におけるアクシデント車両の回収作業が終わり、55周を終了した時点でSCがピットロードに向かう。これで2度目のリスタートとなり、残り7周。ほとんどテールtoノーズ状態から、最後のバトルが開始された。トップを逃げる小暮は、タイヤ滓を踏んで少しヒヤリとさせたが何とかリードを保ったままレースを再開、2番手以下との差をじわじわ引き離しに掛かる。その2番手、トレルイエ選手を猛追していたロイックも、危なげないリスタートを見せ、再び4位以下とは明確な差を拡げていくことになった。その後、4位のマシンもペースアップしたが、時すでに遅くチェッカー。
結局、ポールからスタートした小暮が、ただの一度もトップの座を明け渡すことなく見事なポールtoウィンで、第3戦のもてぎ以来となる今季2勝目を飾ることになった。レースを通じてトレルイエ選手に食らいついていたロイックだが、流石ディフェンディングチャンピオンだけあって、トレルイエ選手もノーミスのレース展開を見せ、最後の最後までロイックに付け入る隙を与えることはなかった。結局、オーダーを変えることなくチェッカーとなったが、ロイックにとっては前回の富士ラウンドに続いての3位入賞。チームにとっても久々となるダブル表彰台ゲットとなった。

■PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント

今週は金曜日の走り出しからとても調子は良かったですね。小暮君のクラッシュを除けばね。しかしこれが僕の、小暮君を気に入っているところでもあるんだから、チャレンジした結果だしね。我々のチームが2台揃って完走、表彰台に上がれたというのは、多分すごく久しぶりのことですから、とても嬉しい週末になりました。
小暮君もロイック選手もチーム内でいい競り合いをしてくれています。次のレースでもお互いに競い合って、お互いにいい結果を出してくれれば、その結果としてポイントも付いてくると思います」


次戦は10月19-21日栃木県ツインリンクもてぎで開催されます。



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