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マシンの熟成も進んでトップを快走するが、無情のペナルティで後退 最後は思わぬハプニングらからチェッカー目前でストップするも、10位入賞を果たす |
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32 EPSON NSX 予選8位 決勝10位
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NSX勢絶好調で迎えた第5戦もてぎ。 |
厳しい暑さとなった週末。 スタート前コックピット内のロッテラー選手。 |
ゴールまであと数百メートルを残してストップ。 マシンを降りる松田選手 |
思わぬハプニングで終わった第5戦。 |
夏休みも終わった9月2〜4日に栃木県のツインリンクもてぎで開催されたシリーズ第5戦には、年に一度のスーパーGTレースを一目見ようと、2日間を通じて7万人近いファンが詰めかけた。国内で屈指のスケールを誇る、ツインリンクもてぎの大きなスタンドも大入満員となり、改めて、その人気の高さを証明することになった。 金曜日の合同テストから、EPSON NSXは快調に周回を重ねた。 9月に入ったというもののまだまだ残暑が厳しく、2回のセッションでも気温は35℃まで上昇。路面温度も50℃近く、文字通り酷暑のコンディションとなったが、このタフなコンディションの中、1回目のセッションでトップ5に入る好タイムをマーク。午後は決勝セットを探ったためにタイムアップはならなかったが、上々の滑り出しとなった。 翌土曜日に行われた公式予選でも好調さは続いており、午前中に行われた1回目のセッションでは、タイムアタックを担当したロッテラー選手が、これまでのレコードをあっさり更新する。 このクラスのタイムアップぶりは目覚ましく、上位13台がこれまでのレコードを更新、しかもタイム差は僅差で、一寸したミスでもポジションは一気にダウンする。そんな中、ロッテラー選手がマークした1分46秒463はトップとは僅かにコンマ3秒差だったがポジション的には8番手。 それでも、今回から進出台数が10台へと絞られた午後のスーパーラップにはあっさりと進出を果たしていた。 その、午後のスーパーラップでロッテラー選手は、午前中の自己ベストをコンマ2秒以上も短縮して見せたが、ライバルも多くがタイムアップ。結局、1回目と同じ8番手となり、決勝レースには4列目のグリッドからスタートすることになった。 前日までとは一転、空は白い雲に覆われていたが、相変わらず早朝から暑く、決勝日となった日曜日も、真夏日となりそうだった。 朝一番で行われたフリー走行でEPSON NSXは予選ポジションより2つだけポジションをアップ。何よりも決勝セットでのマシンのフィーリングが好かったようで、2人のドライバーは大きな手応えを掴んだようだ。 予定通り午後2時にフォーメーションラップのスタートが切られた。隊列を組んだまま1周回った後、正規のスタート=ローリングスタートが切られる。 スタートを担当したロッテラー選手は、2台のZを抜き、グリッドより2つだけポジションアップしてオープニングラップを終えている。3台のNSXがトップグループを形成、それに離されまいとする1台ずつのZとスープラを挟んでの6番手だった。 ロッテラー選手は、まずはスープラの高木虎之介選手を攻略に掛かろうとしたが、高木選手はさらに前方、Zを駆って4番手に付けていた金石年弘選手を猛プッシュ。 結局ロッテラー選手は、金石選手と高木選手の攻防を、直後から"観戦"しながらスキを窺う格好になった。だが、その作戦が結果的には大正解。12周目にV字コーナーで両車が絡んでしまい、金石選手はスピン。高木選手も大きくタイムロスしてしまい、ロッテラー選手は労せずして4番手へとポジションアップする。だが、ここから先のポジションアップは、簡単には行きそうもなかった。 マシンが同じNSXで、しかも全車揃って走り始めから好調だったから。それでもロッテラー選手は1分48秒台のハイペースで周回を重ね、22周目には道上龍選手をパスして3番手に進出を果たしている。 その後、やや膠着状態となるが、レースも折返しが近づいてきた27周目に、レースは大きく動くことになる。トップを快走していたR.ファーマン選手が緊急ピットイン。同時に、ロッテラー選手にパスされた道上選手が、トップグループの中では先陣を切ってルーティンのピットイン。さらに、その2周後にはファーマン選手に代わってトップに立ったS.フィリップ選手もルーティンのピットイン。 上位陣が続々とピットインしたために、自動的にトップに立ったロッテラー選手も、30周を過ぎたところでルーティンのピットインを予定していたが、その直前にロッテラー選手に対して黄旗追い越し違反のドライブスルーペナルティが課せられることになった。 チームでは素早くこれを受け入れることにして32周終了時点でロッテラー選手はピットロードに入ってきたが、ピット前でストップすることなくピットロードをそのまますり抜けもう1周。結局33周を走りきって松田選手に交替した。 これがルーティンのピットインでドライバー交替と同時にタイヤを交換しガソリンを補給したのだが、タイミングが変わって慌ただしさが増したものの、スタッフは冷静沈着に作業を終え、松田選手を最小限のタイムロスだけでレースに送り出している。 ロッテラー選手から代わった松田選手は、ピットアウトした時点では5番手にポジションダウンしていた。トップ2を占めたNSXからは大きく引き離されてしまっていたがその後方、3〜4番手のZとは15〜18秒差。残り30周弱で可能かどうかは分からなかったが、松田選手は目一杯にペースを上げ、猛追撃を開始した。 |
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コースもラインを外すとタイヤかすで汚れており、また至る所で周回遅れのマシンが出てくる状況の中、松田選手は最初のスティントを担当したロッテラー選手のそれに匹敵するようなハイペースで追い上げる。 4番手を行くZのM.クルム選手との差は、ピットアウトして時点では15秒ほどもあったが、1周回ってくるたびに、その差は縮まっていく。そしてラスト3周余りとなった60周目の裏ストレートで見事これをパス。今度は3位、同じくZを駆る井出有治選手がターゲットだ。両車の差は、ラスト2周では3秒だったものがファイナルラップに入る時点では1.5秒にまで詰まっていた。 そしてやがてテールtoノーズとなる。ところが、ゴールまであと数百mを残すだけの2ndアンダーブリッジを出てきた時に、松田選手は井出選手に大きく差を付けられていた。 しかもそのペースは、今にも止まりそうなくらいゆっくりしたもので、実際に最終コーナーのコースサイドにマシンを止めてしまった 。何とガス欠。あと数百mを残して我々のレースは終わりを告げた。 結局、63周レースの内62周を走りきっていたことで、1周遅れとなったマシンの中で最上位となる10位。何とか入賞して1ポイントを稼いだものの、決して納得出来る結果でなかったのは言うまでもない。 それでも、松田選手が歩いてピットに戻ってくると、優勝マシンに送られたのと同等の拍手が巻き起こった。彼の猛追撃が、今日のレースにおけるハイライトのひとつとなったのは明らか。この悔しさを糧に、次戦で巻き返すしかない! |
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●EPSON NAKAJIMA
RACING総監督 中嶋悟のコメント 今回は、優勝さえ期待されていながらも、お恥ずかしいレースを見せてしまいました。言い訳の言葉もないですね。でも、マシンも速く、またドライバーも頑張って走ってくれたのは事実。これを次に繋げることです。 次回の富士では、コースが得意とか不得意だとか言う前に、先ずはチームが一丸となり、今回の雪辱を果たせるよう頑張ります。 皆様方には、これまで同様、我がEPSON NAKAJIMA RACINGに、ご声援いただけるよう、よろしくお願いします。 |
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※次戦は、9月23日〜25日、静岡県富士スピードウェイで開催されます | |