シリーズ名:2005スーパーGTシリーズ(S-GT)
大会名:開幕戦・岡山GT300kmレース
距離:3.703km×82周
予選:3月26日 快晴 ・観衆:2万3500人(主催者発表)
決勝:3月27日 晴れのち曇り・観衆:5万8500人(  同  )

3シーズン目を迎えた松田/ロッテラー組が、トップ争いの末に5位入賞
タイヤとのマッチングデータも収集し、ノーウェイトのまま初戦を終える

32 EPSON NSX  予選4位 決勝5位
開幕戦の岡山国際サーキットには2日間で8万人を超える観客が詰めかけた。 05 EPSON NSXはダンロップタイヤを装着する。
スーパーラップの予選で4番手の好位置につけたロッテラー選手。 34周目でピットイン。松田選手に交代する。
国内最高の人気を誇ってきた全日本GT選手権(JGTC)が、スーパーGTと名称を変え、新たな一歩を踏み出した。新シリーズの開幕戦は、3月26〜27日。  
 TIサーキットが名称を一新、記念すべきオープニングイベントのホストサーキットとなった岡山国際サーキットには、2日間で8万人を越える観客が詰めかけ、インターナショナルシリーズへと進化したGTのバトルを心行くまで楽しんでいた。
 昨シーズンに引き続いて今シーズンも、我がチームはEPSON NAKAJIMA RACINGとして、このトップシリーズに参戦する。
昨年はターボを装着してポテンシャルアップを図ったNSXだったが、シーズン序盤戦はマシンの熟成・開発に手間取ってしまい、苦戦を余儀なくされてしまった。
それでもシリーズ後半戦にはライバルと肩を並べるところまで戦闘力が増し、もてぎラウンドでは我がチームが初優勝を飾ることになった。その教訓を元に、今シーズンのNSXはシャシーまでをも一新。
一層のポテンシャルアップが図られている。
このマシンをドライブするのは昨年に引き続いて松田次生とアンドレ・ロッテラーの両選手。
コンビを組んで3シーズン目となった彼らはもちろん、それをサポートするスタッフも昨年と同様で、チームのコミュニケーションは完璧。
今シーズン、新たにダンロップ・タイヤを装着することになり、チームとして、先ずはタイヤの性格を理解することから始める必要はあるが、データが蓄積され「総てが手の内になった時には大きなアドバンテージを持つ(藤井一三テクニカルディレクター)」はずだ。
 今回のテーマは、まずはタイヤ・データの収集。そのためにも完走は最低限のノルマだった。
 走り始めとなった金曜日は、ウェット/ハーフウェットの微妙なコースコンディションに加え、小雨、そして時折、季節外れの吹雪が舞う1日となった。通常ならば、ここでは本番に向けて予選と決勝のセッティングを出し、予選を想定したタイムアタックでライバルチームとの力関係を探るのだが、今回は何よりもタイヤのデータ収集がメインテーマ。
コンディションも目まぐるしく変わったために、ポジション的には16番手に止まったが、多くの周回数を消化し、コンディションの割には実り多いテストデーとなった。
ただし、完全なドライコンディションでの走り込みが不足していたことは、唯一の気がかりだった。
 土曜日は一転、快晴のドライコンディションで公式予選が実施された。今回はGTでは初めてとなる"スーパーラップ"が採用されている。これは1回目のセッションでベスト10台、さらに午後15分間のセッションでプラス2台を選抜し、最後に2台ずつがワンラップアタック。そのタイムによって上位12台分のグリッドを決定するというもの。
1回目のセッションで2人のドライバーがともに、予選通過の基準タイムをクリアしておく必要もあった。その1回目のセッションで、いつものように松田選手はあっさりと基準タイムをクリアーしていたが、ロッテラー選手が担当した肝腎なタイムアタックでは14番手に低迷してしまう。
実はセッティングがまだ巧く煮詰められていなかったのが原因だったが、トップから1秒余りの差で14番手となるなど、GTは相変わらずの激戦区だ。
午後のセッションまでにエンジニアとドライバーがミーティングを重ね、スタッフがセッティングを見直す。そうして迎えた午後のセッションは、僅か15分間の慌ただしいものだったが、ロッテラー選手は午前中にマークした自己ベストをコンマ6秒短縮。見事セッショントップとなって11番手としてスーパーラップへの参加権を奪うことに成功した。
スープラを駆る脇阪寿一選手と2台1組でスーパーラップに出走したロッテラー選手は渾身のアタックを見せ、自己ベストをさらに1分25秒256まで短縮し、4番手へと進出。
まずは上々のグリッドを得ることになった。このポジションは結果的にウェイトハンディを積まなくても良いベストなものだった。
 決勝レースが行われる日曜日は、前日に比べると幾分多めの雲が顔を見せていたものの青空が大きく拡がる穏やかな天候で明けた。コースはもちろんドライコンディションだ。朝一番のフリー走行では、相変わらずフェアレディZが速かったが、EPSON NSXもコンマ7秒差の8番手につけており、決勝レースに向けて期待を高めることになった。
 サポートレースとピットウォーク、そしてセミファイナルのワンメイクレースを終えると、いよいよ決勝レースのスタート進行となる。スタートは、いつものようにロッテラー選手が担当する。
1周のローリングを終えて正規のスタートが切られるとロッテラー選手はしっかりとポジションをキープ。直後の2コーナーで1台のマシンがスピンで遅れたこともあり、本山哲、織戸学の両選手に続いて3番手でオープニングラップを終えることになった。
この時点で4番手以下のマシンとは少し差が開いていたが、その後もじわじわと差が拡がっていった。トップ3の中でも本山選手と織戸選手は接近戦のハイスピードバトルを演じていたが、ロッテラー選手は一歩引いた格好でこれを追走。
今シーズンから履いているダンロップのドライタイヤではロングの走り込みが出来てなく、そのライフは特性も見極めていなかったこともあったから、これは賢明な作戦だった。結局、トップ2台には少し差を付けられたものの、それ以上に4番手以下との差を開きながら周回を続けたロッテラー選手は3位のまま、34周を終えたところでピットイン。
タイヤ交換とガソリン補給を終え、代わった松田選手は12番手でレースに復帰した。
ミッドシップエンジンを採用しているため、燃料タンクへの補給系統が複雑な形状となり、燃料補給に時間を取られるのがNSXのウィークポイントとなっているが、それでも1台のスープラに先を越されたものの、事実上の4番手で、松田選手は周回を重ねていった。
だが、ライバル勢よりも少し早めにピットインしてタイヤ交換したことの影響が、終盤になって松田選手を苦しめることになる。よりフレッシュなタイヤを武器に、後方から猛プッシュしてきたE.コマス選手と伊藤選手が松田選手に襲い掛かる。これを何とか防いできた松田選手だったが、最終的には彼らの先行を許すことになる。
それでも、ノーミスで走りきった松田選手は5位でチェッカー。レース中のベストラップも4番手で、結果的には何らウェイトハンディを背負うことなく次戦、富士ラウンドに臨めることになったのは大きい。
ハイペースで周回を重ねながら300kmのレースを走りきったことで、タイヤのデータが充分に蓄積できたことも見逃せない。次回の富士ラウンドまでには、合同テストも予定されている。リニューアルオープンする富士スピードウェイでは、各チームが横一線となってのレースだけに、勝機も見出せそうだ。

●EPSON NAKAJIMA RACING総監督 中嶋悟のコメント
ダンロップ・タイヤに変更しての初戦で、予選4位、決勝5位とまずまずの結果を残すことが出来ました。もちろん、満足するわけにはいきませんが、今回、ドライコンディションでレース距離を走りきったことで、様々なデータを収集することも出来ました。
また、これは結果的に予選と決勝でのベストラップ、そして決勝結果でも、総てウェイトハンディが課せられる一歩手前に止まったことで、ウェイトが響いてくる富士スピードウェイでの第2戦に、ノーハンディで臨めることになりました。
次回は、さらにステップアップしたレベルでのレースになると確信しています。
皆様方には、これまで同様、我がEPSON NAKAJIMA RACINGに、ご声援いただけるよう、よろしくお願いします。
※次戦は、5月2日〜4日、静岡県富士スピードウェイで開催されます


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