<シリーズ名>2009年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)
<大会名>第8戦・スポーツランドSUGO
<距離>3.704km×62周
<予選>9月26日 晴れ・観客動員数 7,200名(主催者発表)
<決勝>9月27日 曇りのち雨・観客動員数 15,500名(主催者発表)

タイヤ交換のタイミングがカギを握った最終戦
ロイックが今季4勝目で有終の美

31 Loic DUVAL

予選 1位 決勝1位

32 小暮卓史 予選2位 決勝10位
菅生で最終戦を迎えたフォーミュラ・ニッポン。
予選結果はコースレコードを塗り替えて、中嶋レーシングのワン・ツー。

決勝スタート時刻、いつ雨が降り出すか予想のつかない空模様。

スタートは抜群のスタートダッシュを見せた2番グリッドの小暮選手がトップを奪う。が、小暮選手は、その後の雨に翻弄され10位。

絶好のタイミングでピットへ入ったロイック選手は、ファステストラップも奪う完勝でシーズンを締めくくった。

 今シーズン最後の予選も、NAKAJIMA RACINGが一度もトップを譲ることはなかった。まずはQ1で、両ドライバーは中古タイヤを装着しコースイン。小暮がトップ、ロイックが2番手につけてピットに戻ってきた。小暮はすぐさま新品タイヤに履き換えたものの、他のドライバーのアタックを見ながら結局コースインはしなかった。一方のロイックは、新品タイヤに履き換えて残り数分のところで再度アタック。小暮のマークしていたタイムを上回りトップを奪って戻ってきた。
  Q2では、小暮はすでにお馴染みとなったフロントタイヤのスクラブ作戦を実行。4輪とも新品タイヤでアタックしたロイックのタイムを上回るばかりか、SUGOのコースレコードを塗り替えてみせた。
  この勢いのまま、Q3でポールポジションを勝ちとりたい小暮だったが、気負いすぎたかラストアタックで僅かにミス。コンマ1秒の差でロイックにポールを奪われることになった。
  すでにタイトルを獲得し精神的に余裕の見えるロイックは、それまで若干不安定に思えたマシンバランスも見事克服し、完璧なアタックを披露した。

 予選日とうって変わって、肌寒い陽気となった決勝日。決勝レースに向けて最後の調整セッションとなるフリー走行も、ロイックがトップ、小暮が2番手とNAKAJIMA RACINGの1-2体制が続いた。
 決勝スタート時刻が近づくにつれ一層寒さも強まり、さらには分厚い雲も広がってきた。いつ雨が降り出すか、全く予想のつかない状態で決勝レースはスタート。
SUGOのホームストレートはコースのアウト側がレコードラインのため、イン側は路面が汚れていてスタートには不利な状況だが、これをもろともせずに抜群のスタートダッシュを見せトップを奪ったのは2番グリッドの小暮だった。ロイックもまずまずのスタートを切ってはいたが、僅かに小暮に出遅れ2番手で1コーナーをクリア。その後ろでは3位以下の集団で多少の混乱が起こり、小暮とロイックは1-2体制を築き後続集団を大きく引き離してオープニングラップを終えた。
 スタートまでは持ちこたえた空も、レースが数周を終えるあたりから雨が落ち始めた。それまでお互いにファステストラップを塗り替えながらトップを争っていた2台が、急にタイムを落としたのだ。無線で2人のドライバーとコースの状況を確認したチームは、レインタイヤへの交換を指示。2人同時にピットには入れないため、12周を終えてまずは先頭を走る小暮を先にピットへ呼んだ。メカニックの迅速な作業で暫定8位でコースに復帰。前にいる7台はまだタイヤ交換を済ませていなかったため、全車がピット作業を終えれば再び小暮がトップに返り咲くことになるはずだった。
 一方、小暮のピットインの間は濡れた路面で滑るマシンを必死に操っていたロイックだったが、この1周の間に雨が若干弱まって来た。タイムも持ち直してきたため、ロイックはスリックタイヤのまま走り続けることに。レインタイヤに履き換えた小暮はタイムが上がらず、再びピットに戻ってスリックタイヤへとタイヤ交換を行う。この時点でトップのマシンから周回遅れとなっていたが、レースの行方はまだまだ先が読めない。小暮はあきらめずに前を追い続けた。
 しかし、この2度目のピットインのタイミングで、再び雨が。チームはこの時点でトップを走っていたロイックをピットへ戻し、レインタイヤへ交換してからコースへと送り出した。ロイックから遅れること5周、小暮も三度ピットイン。レインタイヤに履き換えてコースへ復帰した。
 ロイックは暫定4位でコースに復帰したが、スリックタイヤで走っていた1台をコース上で攻略し、後の2台はタイヤ交換で後方へ下がったため、再びトップへ浮上した。雨は依然として強まったり弱まったりを繰り返したが、ロイックは落ち着いたミスのない走りでトップをキープ。終盤、2位のロッテラー選手がペースをあげてきたものの、ロイックは間隔を完全にコントロール。それまでに築いていた十分なマージンもあり、背後を脅かされることなくチェッカーを受けた。
  これで今季4勝目をマークしたロイックは、レース序盤でマークしていたベストタイムで、このレースのファステストラップも奪う完勝でシーズンを締めくくった。
 僅かなタイミングの差で他のドライバーよりも2度多くタイヤ交換を行った小暮は、1周遅れの10位完走。スリックタイヤでもレインタイヤでも、トップを走っていたロイックとほぼ同じようなタイムで走行していたが、ペースの遅い中団争いにひっかかりタイムロス。ポイント獲得はならず、シリーズランキング4位でシーズンを終えることとなった。

■ NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント
 雨でコンディションがどう変わっていくか、それを見切るのが大変なレースになりました。
  (その時点でトップを走っていた)小暮選手のほうに優先権があって、先ずは彼のタイヤを交換することになったのですが、結果的にはこれが裏目に出てしまいました。反対に、そこで1周待つ間に少し雨が小止みになり、ロイックのほうはもう少し(タイヤ交換を)我慢しようと。それが上手くいった。
  レース中のラップを見てみると、2人とも同じペースで走っていただけに、改めて、レースの難しさを感じましたね。こんな格好で最終戦を終えることになりましたが、ロイックがドライバーチャンピオンを奪い、チームもシリーズ優勝で、ダブルタイトルを獲得。そして最終戦もロイックが勝ち、有終の美を飾ることが出来ました。
1年間のご声援、ありがとうございました。

2009シーズンの応援まことにありがとうございました。



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