トップ > エンターテイメント > 伝説の一戦 > Vol.10 2009年 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン 第7戦 オートポリス

Legendary Races 伝説の一戦

チーム一丸となり掴みとった7年ぶりのダブルタイトル

カテゴリー:2009年全日本選手権 フォーミュラ・ニッポン 第7戦
サーキット:オートポリス
予選日:2009年8月29日(土)
決勝日:2009年8月30日(日)
#31(ロイック・デュバル):予選 10位/決勝 3位
#32(小暮卓史):予選 1位/決勝 優勝

ドライバーズチャンピオンに王手をかけた予選

最終戦まで残り2戦となりNAKAJIMA RACINGのロイック・デュバルは、ポイントリーダーとしてドライバーズチャンピオン獲得に王手をかけていた。

土曜日のフリー走行でもチームメイトの小暮卓史とトップタイムを競い合い、予選でもQ1、Q2を危なげなく通過すると、迎えたQ3で小暮が2006年に自身が記録したコースレコードを1秒近く縮める素晴らしいアタックを決めてトップタイムを叩き出すと、デュバルはそれに負けじと小暮のタイムを凌ぐセクタータイムを出していたが、焦りがでてしまったのかオーバースピードでコーナーへと進入し、コントロールを失いタイヤバリアに衝突。幸い本人は無事だったものの、マシンは大きなダメージを負ってしまい、以後のアタックはできなくなった。これにより小暮はポールポジションを獲得する。

さらにデュバルの不運は続き、デュバルがQ2で出したベストタイムは黄旗が掲示されているなかでのタイムだったため、本来であればそのタイムは抹消され、セカンドタイムが採用されるべきところを、オフィシャルの裁定ミスでベストタイムが抹消されずQ3への出走が許可されてしまったのだ。予選後に協議が行なわれ、Q2のセカンドタイムが正式に採用され、翌日の決勝レースは後方10番グリッドからのスタートが決定されてしまった。


完璧なチームワークにより勝ち取った決勝戦

後味の悪い予選から一夜明けた決勝日。午後2時30分、強い日差しが降り注ぐなか、54周の戦いの火蓋が切って落とされた。ポールポジションの小暮は、スタートに失敗して2台に先行される。また、10番手からのスタートとなったデュバルも中盤の混乱のなか行き場を失いコースから押し出され、コースアウトこそ免れたものの最後尾まで後退してしまった。

3番手を走行していた小暮は、路面温度が予想よりも高かったことも影響したのか、タイヤの摩耗が激しく、ペースが上がらないため予定より早めの22周目にピットインを敢行。メカニックたちの完璧なピットワークでコースに復帰。これが功を奏して先行していた1台がピットインしたタイミングで前に出ることに成功する。2番手に上がってからもペースを上げていき、ついにトップのマシンがピット作業に手間取った隙に抜き去りトップでチェッカーを受ける。これにより、最終戦を待たずしてNAKAJIMA RACINGの7年ぶりのチームチャンピオンが決定された。

そして、最後尾から追い上げていたデュバルもタイヤが厳しくなり、16周目にピットへ戻る。この時の作業時間は全チームの中で最速の15秒2。チームに背中を押されたデュバルはぐんぐんペースを上げていき、次々にマシンをパスし、1周目に最後尾までポジションを落としたにも関わらず、全車がピットを終えたところでなんと表彰台圏内の3位まで順位を上げることに成功したのである。

このとき、6ポイント差でシリーズチャンピオンを争っていたマシンがアクシデントにより後方に沈んでいたため、このままの順位でチェッカーを受けることができればドライバーズチャンピオンを獲得できるとわかり、戦局を見守るスタッフたちからはもちろん、大勢の観客たちからの熱い声援を受けたデュバルは見事3位でチェッカーを受ける。そして獲得したポイントにより、デュバルは自身初のドライバーズチャンピオンを獲得。そしてチームにとって実に7年ぶりのダブルタイトル獲得を果たした。

レース序盤、タイトル獲得は最終戦に持ち越しかと思われた2台の順位だったが、粘り強い走りで順位を上げたドライバーたち、機転を利かせたエンジニアたち、そして迅速なピット作業で後押ししたメカニックたち。まさにチーム一丸となって戦って掴みとった悲願のチャンピオンである。

中嶋悟コメント

2台が拮抗し、チーム内にも常にいい緊張感があるシーズンでした。
このレースは小暮選手が意地を見せて優勝したことはもちろん、持ち越される雰囲気だったのをロイック選手が怒涛の追い上げでWチャンピオンを決めてくれた嬉しい事尽くしのレースでした。この年以来、タイトルが遠のいているので何とか奪回できるように頑張りたいですね。



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