トップ > エンターテイメント > 伝説の一戦 > Vol.13 2002年 全日本GT選手権 第8戦 鈴鹿 GT 300km

Legendary Races 伝説の一戦

圧倒的な勝負強さで史上初のシーズン3勝目を飾る

カテゴリー:全日本GT選手権
サーキット:鈴鹿サーキット
予選日:2002年11月16日(土)
決勝日:2002年11月17日(日)
予選 3位/決勝 優勝

チャンピオンタイトルが懸かった最終戦

2002年シーズン、NAKAJIMA RACINGは全日本GT選手権(略称JGTC、後年のスーパーGT)のGT500クラスと全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(後年のスーパーフォーミュラ)、日本の2つのトップカテゴリーをともにラルフ・ファーマンと松田次生のコンビで戦っていた。フォーミュラ・ニッポンではファーマンが最終戦鈴鹿でドライバーズチャンピオン獲得を果たし(チーム部門タイトルも獲得)、GT500でも同じく鈴鹿で行なわれる最終戦にドライバーズチャンピオン獲得の可能性を有しての臨戦となった。

NAKAJIMA RACINGが走らせるMobil 1 NSXは最終戦を前にGT500クラス最多タイの2勝をあげ、ランキングは5位。この年の最終戦には多くの陣営がドライバーズチャンピオン獲得の権利を有しており、熾烈な激闘となることも予想されていたが、NAKAJIMA RACINGにとっては日本のレースにおけるトップカテゴリーのドライバーズタイトル独占という快挙も目指してのシーズンフィナーレ戦だ。

当時のJGTCのウェイトハンディ制度は、最終戦は現在の原則全車ゼロのレギュレーションとは異なり、前戦に引き続いてのウェイトハンディ制で運用されていた。鈴鹿ファイナルバトルに挑むNAKAJIMA RACINGのハンデは60kg。決して軽くはない数字だが、タイトル争いをしているライバルたちの多くも同等のウェイトを積んでおり、優勝の可能性は十分にあるといえた。

レースウィークの金曜に練習走行があり、そこでホンダNSX勢は好調を示す。迎えた翌土曜の予選。当時は1回目と2回目を合わせたなかでの最速タイム順に予選結果が決まる方式が採用されていた。まず予選1回目にMobil 1 NSXは1分56秒217のタイムで一時トップ、最終的にはこのセッション2番手につけた。

続く予選2回目、ファーマンが1分55秒740をマークして、1回目と2回目の総合でトップへ。そしてライバルたちはこのタイムを打ち破ることができず、ポールポジション獲得かと思われた。しかし、ベストラップを叩き出した周にシケインのブレーキングで止まりきれず、結果的にショートカットをしてしまっていたため当該タイム抹消の措置を受けることに。

Mobil 1 NSXの予選ベストタイムは1回目の1分56秒217ということになり、総合の予選順位は3位。幻のポールポジションとなってしまったことは残念だが、マシンの感触は良く、3番手スタートからなら巻き返しは充分に可能だ。優勝とチャンピオンを照準に据えて、決勝日も邁進するのみのシチュエーションとなった。


見事トップチェッカーを受けるも1ポイント差に泣く

52周の決勝レースにはファーマンが前半、松田が後半のスティントを担当するオーダーで挑む。レース序盤から激しいバトルが展開されるなかファーマンは2番手に上がり、予選2位から首位に立ったTAKATA童夢NSXのリチャード・ライアンを僅差で追いかけていくことに。そしてファーマンは13周目にこの難敵を攻略、トップに立つ。

レース中盤に上位の各マシンがルーティンのピットストップをこなし終えた段階でも、ファーマンから代わった松田が首位の座に位置している。そしてレース後半は、松田のMobil 1 NSXを含む3台が緊迫感に満ちたトップバトルを繰り広げることとなった。2番手にARTA NSX、3番手にはチャンピオン争いのライバルでもあるエッソウルトラフロースープラが上がり、2台のNSXを追ってくる。

4位のマシンは最終的に27秒もの後方となる状況で、トップ3は接近した戦いを続ける。松田は周回遅れのマシンの処理に悩まされる場面もあったなか、懸命に首位の座を守り抜いていった。そして、ゴール時には2位のARTA NSXと0.724秒差、3位のエッソウルトラフロースープラも0.982秒しか差がなかった戦いを制し切って、NAKAJIMA RACINGのMobil 1 NSXはこのシーズン単独最多となる3勝目を達成する。予想通りの接戦となったレースで、その接近戦を見事にしのぎ切って勝利を得たのであった。

ウェイトハンディ制もあるなか、GT500でシリーズ戦の年間3勝というのは今も昔もそうそうできることではない。国内メーカー勢でGT500クラス年間3勝をマークしたのは、この年のファーマン&松田が史上初だ。ドライバーズチャンピオン争いの方は最終的に1点差で惜しくも敗れる結果にはなったが、2002年シーズンおよびその最終戦の戦いは、NAKAJIMA RACINGのチーム総合力の高さがあらためて大きくクローズアップされた一戦であった。

中嶋悟コメント

この年は惜しくも1ポイント差でチャンピオンを逃したシーズンで、印象深い1年でしたが、チャンピオンを上回る3勝を挙げたことで、チームのパフォーマンスは十分に発揮出来たと思っています。今後もチャンピオン争いができるようなシーズンの戦いをしていきたいですね。



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