トップ > エンターテイメント > 伝説の一戦 > Vol.9 2007年 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン 第3戦 ツインリンクもてぎ

Legendary Races 伝説の一戦

ひとつのミスもない完璧な勝利 ー 快進撃の始まり

カテゴリー:2007年全日本選手権 フォーミュラ・ニッポン 第3戦
サーキット:ツインリンクもてぎ
予選日:2007年5月19日(土)
決勝日:2007年5月20日(日)
#31(ロイック・デュバル):予選 7位/決勝 リタイア
#32(小暮卓史):予選 3位/決勝 1位

めまぐるしく変わる天候

ロイック・デュバル、小暮卓史とともに2007年シーズンを戦うPIAA NAKAJIMA RACING。

この第3戦目となるツインリンクもてぎ大会では、従来2回行なわれる予選のベストラップにより決勝のグリッドが決定されるが、1回目の予選のタイムが遅かったマシンから順に1台ずつ1周のアタックをし、そのタイムによってグリッドが決定されるという、「スペシャルステージ予選」が採用された。

小雨が降りだし、ハーフウェットの路面で1回目の予選が始まる。ほとんどのマシンがドライタイヤでコースインし、アタックを開始するものの、徐々に雨脚が強まりスピンやコースオフするマシンが続出。赤旗が何度も提示される荒れた展開に。3セット目のニュータイヤを装着した小暮はセクター1をこれまでの自己ベストを更新する速さで通過したが、S字コーナーでオーバーランしグラベルにつかまる。これにより以後のアタックはできず、結果18番手で午後のスペシャルステージへ。

雨も止み、インターバルを挟んで開始されたスペシャルステージ予選。5番目出走の小暮だったが、またしてもアタック開始前に雨がパラつき始める。降り始めた雨で路面が濡れていく中での難しいアタックとなったが、他を圧倒するアタックを見せこの時点のトップタイムをマークする。その後、天候は回復し路面もドライコンディションへと好転したが小暮のタイムを上回るマシンは現れることなく、14番目にアタックしたデュバルでさえも小暮のタイムを上回ることができなかった。終盤、完璧なドライコンディションになったため結果的に小暮は3番グリッド、デュバルは7番グリッドを獲得し予選を終えた。

雲ひとつない晴天で迎えた決勝日

午後2時半に始まった決勝レース。危なげなくスタートを決めた小暮は、1周目から前を走るマシンを抜きにかかる。90度コーナーで2番手を走るマシンをオーバーテイクすると、2周目にも同じポイントで前のマシンを抜き去りトップに躍り出る。

このレースでPIAA NAKAJIMA RACINGは、このツインリンクもてぎが抜きにくいコースレイアウトであることと、小暮の予選位置が3番手という好ポジションからのスタートだったため、2ピット作戦を採用しており、他のマシンよりも少ない燃料でスタートした小暮は後続車とのマージンを築くため予選を彷彿とさせる走りをみせる。30秒近くマージンを築いた28周目に最初のピットイン。給油とタイヤ交換をミスなくこなし再度コースイン。ピットアウト後もライバルたちより1秒近い速いラップタイムを重ねる小暮は独走態勢へ。ついに後続との差を50秒近くまで引き離した43周目に2回目のピットイン。ここでもミスなくコースへと送り出しトップの座をキープする。そのままの勢いで62周のレースを走り切りトップでチェッカーを受け、実に3年ぶり自身通算2勝目、今季初優勝を飾る。このシーズンの小暮の快進撃(※後述)はこの大会から始まったのである。

2ピット作戦は前のマシンを抜くのに手間取ったり、ピットワークでミスをしてしまったりと、ひとつでもミスが起きれば成功はしない。ドライバーの腕だけではなく、作戦を練るエンジニアや、最高のマシンを作り、完璧なピット作業を行なうメカニック。チーム全員が全力でレースを戦い掴んだ勝利。これも伝説の一戦だ。

※シーズン2勝目を挙げた菅生大会については、「伝説の一戦 Vol.6」にて取り上げている。

中嶋悟コメント

何度もトライした2ピット作戦が初めて成功した一戦で、記憶に深く残っています。ドライバーの腕とチームの総合力が絡み合って成し遂げた伝説の一戦だと思います。終始プッシュして桁違いの速さを見せながら、手を抜くことなく独走でトップチェッカー。小暮選手にとっても、ドライバー冥利につきる一戦だったのではないでしょうか。



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